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別居期間の生活費を離婚後請求できるのか 調布市/48歳女性 |
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夫の暴力が原因で2年前から子ども2人を連れて実家に帰り、夫と別居。最近、離婚が成立しました。夫にはこれといった財産はありません。別居中の生活費も渡してくれず、実家から援助してもらっていました。離婚してからも別居中の生活費を請求したいのですが、できるのでしょうか?
離婚後の婚姻費用の分担請求については、いろいろな説があり、裁判所の判断も分かれているようです。大きく分けて次の4説があります。
(1) 婚姻費用分担請求権は、婚姻関係という身分があることによって認められる権利であるから、離婚とともに消滅する。
(2) (1)同様に権利は消滅するが、それは財産分与請求権に性格を変えて存続する。
(3) 請求権は離婚によって消滅はせず、財産分与請求権に包含されて、離婚後2年間の徐斥期間をもって消滅する。
(4) 離婚後は当然消滅するが、離婚までの請求権は消滅しない─など。
神戸家裁の昭和37年の審判では、婚姻費用分担請求権は離婚によって消滅すると前述の(1)に従っています。しかし、通常訴訟で別居中の生活費を受けなかったことを理由に、不当利得または損害賠償として請求することはできるとしています。一方、福岡家裁の昭和43年の審判では、(4)の立場に従って、離婚後に申し立てられた婚姻費用の分担も認めています。また、大阪高裁の昭和37年の判決では、婚姻費用分担の審判申し立ては、離婚後2年以内はこれをすることができるとして、福岡家裁と同じ考えに立っているようです。
あなたの場合、財産分与請求もしていないようなので、別居中の婚姻費用分担請求をするのがよいと思います。
弁護士 山下英幸
TEL:03-3508-0581 |
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