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  法律 平成19年10月号  
離婚した後、死亡した母の財産分与請求は?  世田谷区/35歳女性

 わたしが5歳の時に父が病死。母はわたしを連れて再婚しましたが、母の再婚相手とは養子縁組をしていません。母は、1年前に協議離婚をしました。財産分与について話し合いがなかなかつかなかったので、家庭裁判所に調停を申し立てました。しかし、調停の成立前に母は亡くなりました。母の相続人であるわたしに、母の財産分与請求権が認められて、相手方との間で決めることができるのでしょうか。


  財産分与請求権は段階的にみて、次の3つに分けることができます。その中のどの段階で相続が認められるか意見が分かれるようです。

(1) 離婚はしたが、財産分与の請求の意思表示をしていない場合。

(2) 請求の意思表示をして、相手とは協議中だったり、調停や審判の手続き中である場合。

(3) 協議や調停が成立したり、審判や裁判が確定して、金額や方法が具体的に決まっている場合。

 財産分与請求権は、離婚に伴って当然に発生する権利であって、協議などは具体的な内容を確認するに過ぎないとの説によると、(1) から(3) のいずれの場合でも相続が認められることになります。

 これに対して財産分与請求権は、協議または審判などによって具体的な権利として発生し、その額や方法などが決められている場合とする説は、(3)の場合だけが具体的な権利として相続の対象となることになります。

 また (2) の場合のように、意思表示がすでになされている場合には相続されるという説もあります。裁判例もこれによるものがあり、実務上もこのような考えが有力であると考えられます。

 したがって、あなたの場合は母親が既に調停の申し立てをしているということは財産分与請求の意思表示をしているのですから、あなたは母親の相続人として、調停手続きの引き継ぎをした上で、相手方との間で財産分与の取り決めをすることができます。

弁護士 山下英幸
TEL:03-3508-0581

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