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  法律 平成19年9月号  
後見制度とは?  葛飾区/53歳女性

 わたしの父は10年前に亡くなり、75歳の母は郷里で一人暮らしをしています。最近では時々物忘れがひどくなり、認知症になって誰かにだまされるのではないかと心配しています。知り合いに「後見制度というのがあるから、それを利用すればよい」と言われました。後見制度とはどういうもので、また、わたしの母の場合、利用することができるのでしょうか。


  後見制度には、法定後見制度と任意後見制度とがあります。法定後見制度は精神上の障害により判断能力が不十分な人が利用する制度です。これに対して任意後見制度は、公的機関の監督を伴う任意代理の制度で、現在は判断能力を有している人が、将来判断能力が不十分になったときに備えて事前の契約によって定めておく制度です。

 したがって、あなたの母親の場合は、認知症のおそれのある場合ですから、法定後見制度が利用できるか否かが問題となります。法定後見制度には、本人の判断能力の喪失の程度に応じて、(1) 後見 (2) 保佐 (3) 補助の3つの類型があります。

 (1) の後見制度の対象者は、精神上の障害により事理を弁識する判断力を欠く常況にある人。つまり自分の行為の結果について合理的な判断をする意思能力を終始欠く状態にある人が利用する制度です。(2) の保佐制度は精神上の障害によって、判断能力が著しく不十分な場合であり、(3) の補助は判断能力が不十分な場合です。

 利用者がどれに該当するかは、医師の診断書に基づいて家庭裁判所が判断します。

 あなたの母親の場合は、いわゆる「まだら状態」のようですから、後見ではなく保佐の対象者になると思われます。家庭裁判所に保佐開始の審判の申し立てをして、保佐人を選任してもらうのがよいでしょう。

 それによって重要な法律行為については保佐人の同意が必要となります。保佐人の同意、またはこれに代わる家庭裁判所の許可を得ないでした契約などは、取り消すことができます。

弁護士 山下英幸
TEL:03-3508-0581

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