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被害者参加制度とは 北区/68歳男性 |
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姉と2人姉弟ですが、姉が今年の3月に交通事故で死亡。自動車を運転していた者はかなり酒を飲んでいたようです。最近、刑事裁判の被害者参加制度とか、損害賠償命令制度というものを耳にします。どういうものか教えてください。
被害者参加制度は、犯罪被害者等基本法に基づいて、刑事訴訟法などの一部を改正して、被害者が刑事裁判に参加できるようにする制度です。内容は、公判期日に出席の上、一定の範囲で被告や証人に質問や尋問をしたり、意見を述べたり、説明を聞くことができるというものです。
また、損害賠償命令制度は、刑事裁判の手続きを利用して、犯罪で被害を受けた人の損害賠償請求を審理、命令を出す制度です。手続きとしては、刑事事件が係属する地方裁判所に損害賠償請求の申し立てをすると、その裁判所は、刑事事件判決言い渡し後に、損害賠償請求について審理をして損害賠償を命ずるものです。 両制度の対象となる犯罪は定められていて、殺人や傷害罪、強制わいせつ・強姦の罪、略取誘拐、人身売買、業務上過失致死傷罪、逮捕・監禁の罪などとなっています。しかし、損害賠償命令については、故意犯に限られるので、業務上過失致死傷罪は除かれることになっています。
次に裁判に参加したり、請求できる被害者の範囲も決まっていて、被害者、または被害者が死亡した場合や心身に重大な故障がある場合には、被害者の配偶者、祖父母、子どもなど直系親族と兄弟姉妹となっています。
この両制度は、現在法律案が国会に上程されている段階で、まだ成立したわけではありません。特に被害者参加制度については、裁判が公平に行われず、事実解明よりも私的闘争、報復に利用される恐れがあることを理由に反対論も強く、成立は微妙な情勢です。
弁護士 山下英幸
TEL:03-3508-0581 |
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