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  法律 平成19年4月号  
死亡した父の保証債務は相続される?  新宿区/56歳男性

 わたしの父は知人がマンションを借りる際に連帯保証人となりましたが、先月亡くなってしまいました。父の相続人であるわたしは、父の保証債務を相続することになるのでしょうか。また、将来にわたって家主との間の保証契約は解除できないのでしょうか。


 相続は、被相続人の地位を相続人が承継することですから、賃貸借契約の保証人が死亡した場合は、その相続人が保証債務を相続することになります。したがって、賃借人に賃料の不払いなどの賃貸借契約に基づく債務が発生したときは、あなたがその支払い義務を負います。

 次に将来に向けての保証契約の解約ができるかどうかですが、原則的には賃貸人の承諾がないと解約できません。ただ判例によりますと次のような条件を満たした場合には解約を認めております。

 その条件とは、(1)保証契約に保証期間の定めがない。(2)契約後、相当期間が経過している。(3)賃借人が保証人に対し、賃料の未払いを通知しない。(4)賃借人に賃料支払いの見込みがないのに、賃貸人が賃貸契約を解除せず放置し、保証人に対し一時に多額の保証債務の支払いを請求するなど、信義則に反する行為がある場合。

 しかし、実際にこれらの条件をすべて満たすことは、保証人またはその相続人に厳しすぎると思います。これらの条件のうち(1)、(2)のほかに、あなたの場合のように保証人が死亡した場合や、賃借人の資産や信用状態が悪くなったような場合には事情変更の原則により、将来に向かって解約を認めるのが相当であろうと思います。


 ところが判例によると、(4)のような場合に賃貸人にそのような信義則上の義務はないと解されています。当事者の公平という観点からみれば、賃貸人が保証人の資力を当てにして適切な手段をとることなく放置している場合でも、解約できないのは不当と考えられるので、訴訟などで争ってみる価値はあると思います。


弁護士 山下英幸
TEL:03-3508-0581

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