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即決和解とは? 渋谷区/58歳男性 |
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ビルの1室を賃貸しているのですが、賃借人がわたしに無断で他人に又貸しをしました。契約を解除して明け渡しを求めたところ、入居している人から、「必ず明け渡すから半年待ってほしい」と言われました。仲介した不動産業者に相談したところ、即決和解を組めばよいと言われました。即決和解とはどういうものですか。
裁判上の和解には、訴えを提起した後の和解と、訴えを提起する前の和解、つまり起訴前の和解があって、これを一般に申し立ててすぐに和解が成立することから即決和解と呼んでいます。
どちらの和解でも、その合意を記載する和解調書は、確定判決と同一の効力を有します。起訴後の和解では当事者間に争いがあるのは当然ですが、即決和解の場合でも、条文上「民事上の争いについては」と規定されていて、「民事上の争い」があることが必要です。建物の賃貸を開始するときは争いがないので、即決和解の申し立てはできません。そこで問題となるのが何をもって争いといえるかです。この点については諸説があります。厳格に解する説は、もし当事者間に和解が成立しない場合には、訴訟によって解決されるべき紛争を指すとしているのに対し、広範囲に認める説では、権利実行の不確実や不安も争いに当たることを認めています。
あなたの場合は建物の明け渡しですから、問題なく即決和解の申し立てができます。条文上は要件として「民事上の争い」と規定しているだけですが、実務上は紛争解決の見通しがたっていて、その内容を和解条項として作成して、これを申立書に添付することが必要です。代理人によって申し立てをする場合には、委任状の委任内容として和解条項を添付して特定する必要があります。
公証役場で作成する公正証書にも執行力が認められていますが、これは金銭債権についてのみで、建物明け渡しなどについては執行力が認められていないので、執行力に制限のない即決和解が広く利用されています。
弁護士 山下英幸
TEL:03-3508-0581 |
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