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離婚で取得した自宅の税金は? 三鷹市/55歳女性 |
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夫の不貞行為が原因で離婚、自宅(土地と建物)を財産分与として夫から取得することになりました。自宅は夫名義ですが、結婚してから取得したものです。わたしも一時期働いていましたから、住宅ローンの返済には協力しております。この場合税金は誰が払うことになるのでしょうか。
対価を支払うことなく、不動産などの財物を無償で取得した場合には、贈与を受けたことになるので、贈与税が課税されます。ところが、財産分与や離婚に伴う慰謝料として財産が譲り渡された場合には贈与税は課税されません。
なぜならば、財産分与は夫婦共有財産の清算という意味があって、形式的には夫婦の一方から他方に財産が移転する外形をとりますが、実質的には共同所有していた財産を分割するに過ぎないからです。また、慰謝料は精神的な苦痛に対する損害賠償ですから、夫婦の一方が離婚によって受ける損害を回復させるもので所得とはならないからです。しかし名目上は財産分与や慰謝料となっていても、結婚生活における当事者の協力寄与や、そのほかの事情を考慮してもその額があまりにも多すぎて、課税を逃れる目的になされたと認められる場合には課税されます。
一方、財産を分与した夫に対しては、現金で支払った場合は別ですが、自己名義の土地建物を移転する場合には、財産分与義務が消滅する利益を得るので、譲渡所得税が発生します。つまり売却してお金で払ったのと同じになるのです。
例えば、1000万円で取得した土地建物が分与当時1500万円の評価であったとすると、500万円が譲渡所得として課税されます。しかし夫が財産を分与して課税されることを全く知らず、そのことを発言していたような場合には、錯誤を理由に財産分与の無効を主張することができます。無効が認められたときは、改めて財産分与をやり直すことになります。
弁護士 山下英幸
TEL:03-3508-0581 |
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