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鬼城山の山頂部一帯にある鬼ノ城 |
岡山県の中西部を北から南に流れる一級河川の高梁(たかはし)川。その流域には全国屈指の観光地・倉敷市をはじめ10市町にまたがる個性的なエリアが広がる。美しい町並みの倉敷市に遊んで、雄大な吉備高原にある古代吉備国の山城で古代史の息吹を感じ、瀬戸内の笠岡諸島ではゆったり流れる“島時間”を過ごす—。そんな歴史や自然の恵みが豊かな高梁川流域を旅した。
鬼ノ城
いにしえに吉備と呼ばれた岡山。この地には、日本遺産「『桃太郎伝説』の生まれたまち おかやま」の構成文化財の一つ、古代山城「鬼ノ城」(総社市)がある。同城周辺には巨大古墳や、立ち並ぶ巨石などの遺跡が現存していることもあって、鬼退治の“桃太郎伝説”の舞台と見られている。
鬼ノ城は標高約400メートルの鬼城山頂上一帯にある、7世紀後半に築城されたと推定される古代山城。実物大で復元された西門をはじめ、水門、礎石建築物などがあり、その周囲には高さ6メートルにも及ぶ土塁や石塁による城壁が約2.8キロにわたって続いている。国指定のこれら史跡を見ながら、遊歩道を歩いていると、そのスケールの大きさが実感できる。ボランティアガイドの根馬弘文さん(82)は「一説には、製鉄や農耕技術などをもって吉備で栄える渡来人を抑え込むため、大和朝廷が吉備津彦命(きびつひこのみこと)を派遣し、百済の王子、温羅(うら)を滅ぼしたと伝えられています」と話す。
備中松山城で最近話題なのが猫城主「さんじゅーろー」。2018(平成30)年の西日本豪雨の後に住み着いた人懐っこい茶白の猫は城のマスコットとして人々から親しまれている
提供:(一社)高梁市観光協会 |
備中松山城
高梁川流域のもう一つの著名な城「備中松山城」は高梁市にある。標高約430メートルの小松山山頂に立つ備中松山城天守は国重要文化財で、江戸時代以前から現存する天守の中で最も高い。“天空の山城”の異名を持ち、秋から春にかけてよく晴れた早朝には、雲海に浮かぶ幻想的な姿が見られるという。 |
倉敷美観地区を20分程度、川舟に乗ってのんびり町並みを眺められる「くらしき川舟流し」 |
倉敷美観地区・大原美術館
高梁川下流に位置する倉敷市には、国内だけでなくアジアなどからも多くの観光客が訪れる。中でも高い人気なのが「倉敷美観地区」。白壁土蔵のなまこ壁や軒を連ねる格子窓の町屋が昔の姿を今に伝える一方、町屋を改装したカフェやショップなどが続々とオープンし、訪れる人を楽しませる。
また、同地区にある「大原美術館」は倉敷の実業家、大原孫三郎が1930(昭和5)年に設立した日本で最初の私立西洋美術館だ。
エル・グレコ「受胎告知」やクロード・モネ「睡蓮」をはじめとした西洋の名画や、日本の近・現代美術など広範な作品を収蔵・展示している。 |
新見市内で繁殖、肥育されたブランド牛の千屋牛(ちやぎゅう)は、ほどよい霜降りと赤身が特徴だ。そのとろけるようなおいしさと軟らかさは、また格別 |
◆ おすすめ情報 ◆
高梁川流域は、ほかにも魅力がいっぱいだ。「満奇洞」(新見市)では無数のつらら石や洞穴サンゴによる見事な景観にうっとり。赤銅色の石州瓦とベンガラ色の外観で統一された美しい町並みの「吹屋ふるさと村」(高梁市)も風情がある。宿泊は宿場町・矢掛にある古民家再生の宿「矢掛屋INN&SUITES」(矢掛町)など、個性的な施設が整う。また、瀬戸内海に浮かび、ゆったりした島時間を満喫できる笠岡諸島(笠岡市)・北木島は、江戸時代から行われている花こう岩の産出地だ。 |
◆ 高梁川流域観光の問い合わせ ◆
(公社)岡山県観光連盟 Tel.086・233・1802
※高梁川流域の岡山県の10市町は倉敷市、新見市、高梁市、総社市、早島町、矢掛町、井原市、浅口市、里庄町、笠岡市 |
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