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絶景の露天風呂が人気を集めている馬曲温泉“望郷の湯” |
長野県の北部、志賀高原と野沢温泉村の中ほどに木島平(きじまだいら)村がある。北陸新幹線の飯山駅からバスで約15分、千曲川を渡り、右手に“高井富士”の愛称がある高社山(こうしゃさん=標高約1351メートル)が見え始めると木島平村に入る。周囲に山々が連なる静かな農村で、のどかな田園風景が訪れる観光客の心身を癒やす。
絶景の露天風呂、馬曲温泉
木島平村の豊かな自然を満喫できるのが馬曲(まぐせ)温泉だ。村の中心部から車で約10分、標高約700メートルの山の中腹に湧き、“望郷の湯”の名がつく。
男女別に内湯と露天風呂があるが、なんといっても一番の人気は露天風呂だ。早速入ってみると、眼下に村の集落が眺められ、正面左手奥には、高社山が裾野を広げながらそびえている。雄大で穏やかな風景を眺めながらの湯あみは心身が安らぐよう。村自慢の“絶景の露天風呂”だ。
コウゾだけを使って内山紙をすく上埜暁子さん |
雪国ならではの技、手すき和紙
馬曲温泉から車で10分ほど下ると「内山手すき和紙体験の家」がある。工房の案内文によると、1661(寛文元)年に内山の萩原喜右衛門が伊勢参りの際に、美濃(岐阜県)で紙すきを覚えて伝えたのが始まりといわれ、昭和30年代まで農家の副業として盛んにすかれ、障子紙や公文書などに用いられていた。1月から2月にかけて雪の上に(和紙の原料となる)コウゾの皮を並べる雪さらしも特色の一つで、すきあがった紙が白く、長持ちするのもこの技術があるからといわれている。
「コウゾの収穫から皮はぎ、紙すきと全て手作業の昔ながらの作り方です。豊かな湧水も紙すきには適していますね」と伝統の和紙作りを継承する上埜暁子さん(55)は言う。体験でははがき(3枚、800円)、色紙判(1枚、800円)などを作る。
工房の背後には「平成の名水100選」に選ばれた龍興寺清水がこんこんと湧き、ペットボトル片手に多くの人たちが名水をくみに来る。
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名水の里の米・そば
名水の里は、おいしいお米の里でもある。全国から米5000点以上が出品される「米・食味分析鑑定コンクール国際大会」で2008年から19年まで連続して優秀賞や金賞を受賞。「道の駅ファームス木島平」では“村長の太鼓判”の名で販売。また、同道の駅内には地元のそば粉に“オヤマボクチ”と呼ぶ山ゴボウをつなぎにした手打ちそばを出す店「そば処『村』」がある。「腰があって、のど越しがいい」とそば打ち名人の渡邉力さん(73)。
目の前でステーキを焼く「オーベルジュグルービー」の嶋谷オーナーシェフ |
信州牛のステーキ
高社山の頂上から広がるのが木島平スキー場。例年は3月下旬まで滑走可能だが、今年は雪不足のため「3月上旬までかな」とスキー場関係者。子ども用のそりコースは800メートルと日本でも最大級の長さ。ベテランからファミリーまで楽しめる。
スキー場の中ほどにはグルメに人気の宿「オーベルジュグルービー」(Tel.0269・82・3678)が立つ。オーナーの嶋谷渉さん(76)は大阪でレストランを経営し、1991(平成3)年に豊かな自然に囲まれたこの地に移り、料理の宿として開業。リンゴで育った信州牛のステーキをメインに、木島平産の野菜や清流で育ったイワナなど地元の食材を自慢の腕で調理。「1年を通じて首都圏や近畿圏などからもお客さんがやってきます」と言う。ステーキからデザートまで10品がついて1泊2食で1万5290円〜、と料金もリーズナブルだ。 |
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◆ 観光の問い合わせは木島平村観光振興局 ◆
Tel.0269・81・1620 |
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