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修験道の山、城下町の面影…庄内の魅力 山形県/酒田市、鶴岡市 |
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五重塔は三間五層の均整のとれた優美な姿。平将門の創建と伝えられている。現在の塔は室町時代前期の建造で、東北で最も古いといわれる |
江戸時代に北前船海運と最上川舟運で栄えた山形県庄内地方。その中心であった港町・酒田市と庄内藩の城下町・鶴岡市をこのほど訪ねた。修験道を中心とした山岳信仰の山として知られる羽黒山では老杉が立ち並ぶ参道を歩き、山伏の食文化から発展してきた精進料理を味わった。また、酒田市では豪商・本間家の旧本邸を訪ね、地元民から愛されてきたその足跡をたどるなど、庄内地方の魅力を堪能してきた。
羽黒山…続く石段、五重塔
標高414メートルの羽黒山。その山頂に歩いて行くには全部で2446段の石段がある約2キロの参道を登らなければならない。
参道の周囲には樹齢300年〜600年の老杉が生い茂り、森林のすがすがしい雰囲気が心地よい。一の坂の登り口に聳(そび)え立つ国宝「五重塔」は見ものだが、その近くに立つ巨大な杉の木「爺杉(じじすぎ)」も見逃せない。樹齢1000年を超えるとみられ、幹の周囲は約8メートルにも及ぶ。
羽黒山を含む「出羽三山詣」は羽黒山が現世、月山が前世、湯殿山が来世を表すとされている。「出羽三山〜生まれかわりの旅〜」は日本遺産に認定されている。
羽黒山参籠所の伊藤料理長が「出羽三山の食材の食べ方を少し見直したい」と考えて作った「涼風膳」。メインのごま豆腐は抹茶を練り込んで作る |
精進料理…山伏の食と京の技法融合
「羽黒派古修験道」の道場として今も修験者による修行が盛んに行なわれている羽黒山。
その修験道の山伏たちの食文化と、京都などの寺院で洗練されてきた精進料理の技法が融合してできたのが「出羽三山の精進料理」だ。参道の三の坂を登り切ったところにある羽黒山参籠(さんろう)所(斎館)では野山で採取してきた山菜やシイタケなど、自然の素材の良さを生かした料理を出す。料理長の伊藤新吉さん(49)は、「精進料理の伝統を生かしつつ、現代にも受け入れられるようにメニューを考案しています」と話す。
伝統的な「精進御膳」(3240円)のほか、食材の調理法を見直して作った「涼風膳(すずかぜぜん)」(5400円)、最近、増えてきた外国人を中心に好評の「月うさぎ膳」(2160円)はビーガン(絶対菜食主義者)など食材制限がある人も食べられる。料理は全て予約制。 Tel.0235・62・2357 |
本間家旧本邸
江戸時代に「本間様には及びもせぬが せめてなりたや殿様に」と殿様をしのぐ勢威をうたわれた豪商・本間家。その面影を今に伝えるのが「本間家旧本邸」(酒田市)だ。
築造約250年の同旧邸は、杉や松を使った商家造りと、ヒノキやケヤキによる書院造りの武家屋敷(2000石格式)とを併せ持つ珍しい建物。10代将軍家治の治世に本間家3代、光丘(みつおか)が幕府巡見使一行の本陣宿として新築し、庄内藩主酒井家に献上、その後拝領した。本間家の住まいとして1945(昭和20)年春まで使用されたという。
入館料大人700円。本間家旧本邸 Tel.0234・22・3562
九兵衛旅館の「川の湯」は水槽で泳ぐ金魚を見ながらくつろげる。このほか「山の湯」と「貸し切り風呂」がある |
藤沢周平が愛した名湯
鶴岡市には山と川と海の特色を生かした温泉が湧く。その中で多くの文人墨客から愛されたのが「湯田川温泉」。開湯1300年といわれる湯田川温泉で開業約300年を誇る「九兵衛旅館」は作家の藤沢周平が帰郷の際、定宿にしていたことで知られる。「藤沢さんが好んで泊まられた部屋(桂の間)には、今も愛読者の方がよく泊まりに来られます」と同旅館11代目の大滝研一郎さん(50)は話す。宿泊客のプライベートを大切にした同旅館のもてなしも快い。Tel.0235・35・2777 |
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◆ 庄内地方の観光問い合わせ ◆
庄内観光コンベンション協会 Tel.0235・68・2511 |
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