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島原の町には多くの湧水ポイントがあり、水路にはニシキゴイが放流されている |
福岡、佐賀、長崎、熊本の4県に接している九州最大の湾、有明海。その湾内に大きく突き出たような形をしているのが長崎県の島原半島だ。そこは地元産の野菜や果物、新鮮な魚介類、名物のそうめん料理などが楽しめる“グルメ半島”でもあり、モクモクと湯煙が上がる雲仙温泉郷で知られる“温泉半島”でもある。また、一揆の舞台となった原城跡などの歴史遺産も興味深い。そんな魅力ある島原をぐるっと巡ってきた。
島原市は水の都
長崎空港から車で約100分の島原市。江戸時代に7万石の城下町として栄えた同市は現在も当時の面影が残り、江戸の風情が感じられる。旧島原城下の下級武士が住んでいた地区にはわらぶき屋根の武家屋敷が3軒現存しており、当時の雰囲気を今に伝える。
また、地域住民によって美しく保たれてきた水路は“水の都・島原”と呼ばれるゆえんでもある。町筋に沿ってあちこちで水が湧き、そこから流れる清流には色とりどりのニシキゴイが放流され、道行く人の目を楽しませている。市内には約60カ所の湧水ポイントがあり、中でも代表的なのが「浜の川湧水」だ。その湧水場所にある共同洗い場は4カ所に仕切られ、それぞれ洗濯用、食品のすすぎ場、食器の洗い場などとして今も利用されている。
原城は島原・天草一揆の後、石垣が大きく取り壊された。城跡には破却された石垣の石が残されている |
島原・天草一揆の「原城」へ
温暖な気候で穏やかなイメージの島原だが、江戸時代初期の1637年には、同地を治めていた松倉氏のキリシタン迫害と重税に苦しむ農民らが蜂起し島原・天草一揆が起こった。天草四郎に率いられた老若男女3万7000人ともいわれる一揆衆が原城に立てこもったが、幕府の軍勢により全滅し、原城は破壊された。そして、あらゆるものが土中に埋められ封印されたという。
「私たちが小さいころは(原城跡の)ほとんどが畑でした」と話すのは南島原ガイドの会・有馬の郷(さと)の内山哲利さん(71)。発掘調査が行われたことで現在は石垣などの一部の遺構を見ることができる。「発掘のときには石垣の下からたくさんの人骨が出ています。首をはねられた人骨やバラバラになった骨片です」と内山さん。
ユネスコ(国連教育科学文化機関)は7月、原城跡を含む「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」を世界文化遺産として登録した。「原城跡はガイドがいないと理解しにくいところなので、訪れる際にはガイドを依頼した方がいいですよ」と内山さんは勧める。
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おすすめ情報 |
イルカウオッチング
島原半島南端と天草の間の早崎海峡は魚の宝庫。その豊富な魚をエサにするバンドウイルカ約300頭が生息している。回遊するイルカが1年中同じところにとどまっているのは珍しいという。ウオッチング体験の船は口之津港を出港し、乗船時間は60分〜80分。乗船料金は大人2500円。小学生1500円。 |
小浜温泉の蒸気で蒸し上げた蒸しガニは甘み、うま味が凝縮され最高の味=「蒸し釜や」(Tel.0957・75・0077)で |
癒やしの温泉巡り
“温泉半島”島原の代表的な3つの温泉街にはそれぞれ特徴がある。島原は泉質が炭酸水素塩泉(泉温約40度)、雲仙は硫黄泉(同約70度)、小浜は塩化物泉(同約105度)で、湯巡りが楽しめる。観光名所の雲仙地獄には大叫喚地獄やお糸地獄など30余りの地獄がある。
また、日本一の熱量を誇る小浜温泉では、レストラン「海鮮市場 蒸し釜や」が人気だ。小浜温泉の蒸気を利用した14基の蒸し釜で肉や貝、野菜などを蒸した料理のほか、海鮮丼なども味わえる。 |
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【観光の問い合わせ】
(一社)島原半島観光連盟 Tel.0957・62・0655 |
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