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大久保間歩の坑道は想像以上に広い。その大空間に圧倒される |
時の移り変わりとともにさまざまな歴史を刻む島根県。山陰の“小京都”と呼ばれる津和野から昨年、世界遺産登録10周年を迎えた石見(いわみ)銀山、縄文時代の森林が埋没し立ち木のまま発掘保存された埋没林公園など変化に富んだ“宝物”との出合いが魅力だ。
山陰の小京都
空の玄関口萩・石見空港をスタートし、まず向かったのは、2015(平成27)年日本遺産に認定された、山陰の“小京都”津和野町。清流の高津川に沿って国道9号を南下すると空港から約1時間で町の中心部に入る。
森鴎外も学んだ旧藩校の養老館が立つ殿町通り一帯は、白壁になまこ壁を配した土塀に沿って道の両脇に水路が続き、色鮮やかなニシキゴイが泳ぐ。周辺は国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。近くには津和野町日本遺産センターがある。
世界遺産・石見銀山
再び9号線で日本海側に戻り昨年、世界遺産登録10周年を迎えた石見銀山へ。同銀山は16世紀からの本格開発以降、質、量ともに世界最高の水準を誇った。当時、日本は世界の銀産出量の3分の1を占めたとされ、その中でも石見銀山はかなりの量を産出したという。その坑道を間歩(まぶ)と呼び、現在も680カ所ほどが残されているが、一般公開は龍源寺間歩と大久保間歩の2カ所。龍源寺間歩の坑道は約600メートルで、このうち157メートルを公開(大人410円、小中生200円)。
また、初代銀山奉行であった大久保長安の名が付けられている大久保間歩は石見銀山では最大規模で、全長900メートルといわれ、江戸時代から明治時代にかけて採掘された。公開はこのうち160メートルだったが、10周年を機に昨年より15メートル延長し、良質の銀が大量に産出した福石場まで見学できる。坑道に入ると、高さが約5メートルという地底に広がる大空間に圧倒される。ガイドの足立聖さん(71)は「江戸時代はロウソクをともし、ノミを打ちながら1日5人交代で30センチを採掘していました」と話す。
見学は予約制で、3月から11月までの金、土、日曜および祝日。ガイドによる案内が付き、長靴、ヘッドライト、ヘルメットが貸与される(大人4000円、小中生3000円)。
縄文時代の噴火で地中に閉じ込められた杉やケヤキの大木を展示。原始の豊かな森が想像できる |
縄文時代の森が埋没
石見銀山から車で50分ほど移動した所には、もう一つの地底の世界「三瓶小豆原(さんべあずきはら)埋没林公園」がある。
縄文時代に当たる約4000年前、公園南側にそびえる三瓶山(1126メートル)が噴火。そのときの土石流で、当時の杉やケヤキなどが立ち木や倒木のまま地中に閉じ込められた。これを発掘し、地下施設に展示した埋没林の公園である。入り口から地下13.5メートルまで下ると根を張った杉の大木が目の前に立ちはだかり、その背後にはケヤキの大木などが見える。杉は高さ50メートル、根回り10メートルと推定され、縄文期の豊かな森を想起させる。
水田の整備工事で杉の上部を発見したのがきっかけで、1998(平成10)年に調査を開始、30本ほどを発掘し、立ち木で7本を展示。原始の森を肌で感じられる貴重な展示だ。
大人300円、小中高生100円。
日本海を眺めながらお湯に漬かると心身ともにリラックスできる |
日本海望む荒磯温泉
津和野町から車で約1時間、JR山陰線では鎌手駅から宿の送迎車で3、4分の海辺に一軒宿の荒磯温泉・荒磯館が立つ。メタケイ酸を多く含んだ温泉が肌に優しい。露天風呂に漬かると目の前に雄大な日本海が広がる。海鮮料理も人気で、テラスでエビ、サザエなどを焼いて味わう海鮮バーベキューも。荒磯館 Tel.0856・27・0811 |
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【観光の問い合わせ】
にほんばし島根館 Tel.03・5201・3310 |
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