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自然と文化のいいとこ取り…「島&都市デュアル」 兵庫県/神戸市、芦屋市、淡路市、洲本市 |
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樂久登窯で制作に励む西村昌晃さん |
都会の文化と田舎の自然、それぞれのいいとこ取りをした「島&都市デュアル」は、明石海峡大橋でつながる、兵庫県神戸市、芦屋市、淡路市、洲本市の4市が提唱している新しい暮らしのスタイルだ。都市では働いたり、文化的刺激を得たりし、島では自然を楽しみ、のんびり自分の時間を過ごす。この地域では、そのどちらも満喫できるのが大きな特徴である。神戸の中心地・三宮から淡路島までは、車なら1時間前後で移動が可能。わずかな移動で車窓の風景がガラリと変わる。都会と田舎を気軽に行き来できることが最大の魅力である。4市は同地域を暮らすようにめぐる、旅の提案も行っている。各地の暮らしに密着した観光スポットを訪ねた。
地域に根付く窯元
淡路島の洲本市中心街は程よい街の規模で飲食店が多く、夜の散策にもちょうどいい。若い経営者が始めたカフェやバーもあり、地元の人も旅行者も楽しめるコミュニケーションの場としてにぎわっている。
地元の土を使った、西村さんの作品。シンプルな中にも深い味わいがある |
そこから車を40分弱走らせた、海から近いところに「樂久登窯(らくとがま)」がある。陶芸家の西村昌晃さん(39)は神戸出身。丹波立杭焼(たんばたちくいやき)の清水俊彦氏に師事し、6年間修業した後、祖母の家だったこの場所へ移り、窯を開いた。作品は日常使いの「用の美」を重視した「民藝」の流れをくむ。地元の土を使った、ここでしか出せない味わいの器が店舗に並ぶ。
「地域に支えられて、自分の作る器も成り立っている。この田舎の暮らしを丸ごと伝えていけたらと思っています」と西村さん。同じ敷地内には、築100年近い古民家をリノベーションしたカフェとギャラリーがあり、のんびりとした時間を過ごせる。丁寧に入れたコーヒーや手作りスイーツが人気で、週末は県外から訪れる人も多いという。 |
のじまスコーラ |
廃校を商業施設に
廃校となった小学校を活用した複合観光施設「のじまスコーラ」(淡路市)は2012年にオープン。スコーラとは、イタリア語で学校を意味する。モダンな内装のところどころに学校の面影を残し、どこか懐かしい雰囲気を持ったユニークな建物だ。3階建てのうち1階にはマルシェ(フランス語で「市場」の意)やベーカリーがあり、旬の採れたて野菜や焼きたてのパン、オリジナルのジェラートに地元の特産品など、淡路島の食材を使ったさまざまな商品を販売。気軽に立ち寄れるカジュアルなカフェもある。
2階には山形で人気のイタリアン「アル・ケッチァーノ」のシェフ・奥田政行氏がプロデュースするレストランがあり、地元の素材を生かした本格イタリアンを楽しめる。3階には、抜群の眺めとともにバーベキューができるテラスを設けている。屋外にある小さな動物園ではアルパカやヤギと触れ合うことができ、家族で楽しめる施設だ。 |
高架下に店舗を構える家具工房マジカルファニチャー |
鉄道高架下に新スポット
阪急電鉄神戸線の王子公園駅から春日野道駅へ続く線路の高架下エリアは「灘高架下」と呼ばれ、新スポットとして注目されている。ここ数年、主にクリエーターによるユニークでセンスの良い店やアトリエが増え始めている。家具や靴、かばんの工房とショップ、スポーツジム、ギャラリー、古着店などさまざまだ。高架下ならではの高い天井や壁の質感を生かしてリノベーションしている店舗もあり、一見の価値がある。
「大きな音を出しても、電車の走る高架下なら問題がない。ものづくりをする環境としては申し分ない」と、家具工房Magical Furniture(マジカルファニチャー)を営む小寺昌樹さん(32)は言う。近くには横尾忠則現代美術館や大正時代に始まる水道筋商店街、さらには天然温泉もある。ブラブラと散策するのが楽しいエリアだ。 |
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【問い合わせ】
★樂久登窯Tel.0799・34・1137
★のじまスコーラTel.0799・82・1820
★島&都市デュアル(洲本市企画課)Tel.0799・22・3321 |
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