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明治維新で活躍した木戸孝允らの屋敷が立ち並ぶ萩市の城下町 |
来年は明治維新150年を迎える。そこで主要な舞台の一つ、山口県を訪ねてみた。維新の足跡を印す萩の町や太古からの自然と出合う秋吉台、内外の観光客が急増した絶景の日本海を望む神社など、変化に富んだ山口県の旅を紹介しよう。
秋芳洞・秋吉台…太古の造形
山口県の玄関口の一つ・山陽新幹線の新山口駅から車で約30分も行くと国の特別天然記念物に指定されている秋芳洞(あきよしどう)がある。地下100メートル以上の地底に約10キロにわたって延びる、わが国最大級の鍾乳洞。1キロほどが見学できる。
その地上が秋吉台(あきよしだい)で3億5000万年前に石灰岩によって形成されたカルスト台地。デスティネーションキャンペーン(DC=JRや自治体などが共催する大型観光キャンペーン)期間中の17日(金)〜19日(日)の午後6時〜9時、「秋吉台星空のイルミネーション」を開催。星空とカルスト台地のLEDがロマンチックな空間を演出する。
萩…志士の生家跡や松下村塾
秋吉台から国道262号線に出て約1時間で明治維新ゆかりの地、萩市に入る。萩の町の西側に日本海を望む萩城跡がある。維新ゆかりの地はその城跡から市の中心に向かって広がり、萩城下町エリアと呼ばれる。2015(平成27)年に世界遺産に登録された。
中でも江戸屋横町、御成道(おなりみち)、外堀通りなどに囲まれた旧町人地には木戸孝允、高杉晋作らの生家跡などが立ち並ぶ。ここから歩いて5分ほどで今年3月にオープンした萩・明倫学舎。旧藩校明倫館跡に明倫小学校として開校していた日本最大級の木造校舎をそのまま保存。幕末期の科学技術の機器500点を展示したミュージアムなどもある。
萩・明倫学舎から約1.5キロ。松本川を渡ると吉田松陰を祭る松陰神社があり、境内に松下村塾がある。松陰は叔父の玉木文之進(たまき・ぶんのしん)の私塾・松下村塾を28歳のときに継ぎ、幽囚のときを含めわずか2年半と短い期間であったが、伊藤博文、高杉晋作ら明治維新の立役者を育てた。建物は1857(安政4)年に松陰が実家の小屋を改造した8畳を塾舎とし、その翌年に10畳半の部屋が塾生らの手によって増築され、併せて世界遺産に登録されている。松陰神社の上田俊成名誉宮司(76)によると、「松陰は講義のとき、正面の床の間を背にした形ではなく、生徒たちの輪の中に座って、討論形式で講義を進めた」という。 |
国内外の観光客が急増した長門市の元乃隅稲成神社。日本海と朱色の鳥居が美しい |
元乃隅稲成神社…世界が注目する美景
萩駅から山陰線に乗り、長門市駅乗り換えで約1時間の長門古市駅で下車。ここからタクシーで約20分、車なら国道191号線を経て県道66号線を日本海の方角に行くと、話題の元乃隅稲成(もとのすみいなり)神社がある。2015年3月にアメリカの放送局CNNの「日本で最も美しい場所31選」の一つに選ばれ、内外の観光客が急増。地元の長門市観光課によると、今年は80万人に達する見込みという。高台から岩礁地帯に向け緩やかな曲線を描いて123基の赤い鳥居が海に向かって立ち、その朱色が大海原に映え、日本海の絶景が堪能できる。 |
日本海の絶景を眺めながら走る山陰線の観光列車「○○のはなし」 |
観光列車「○○のはなし」
日本海の絶景を列車の車窓から楽しめるのが8月から運行を開始した山陰線観光列車の「○○(まるまる)のはなし」。東萩と新下関とを結び、いろいろ“話”に出合う萩(は)〜長門(な)〜下関(し)をたどる。2両編成で、維新の舞台にふさわしく、1号車は和風、2号車は洋風にまとめられ、広く切られた窓からは日本海の大海原を一望。事前予約で「夢のはなし弁当」、「長門おとずれ弁当」(各2500円)や「萩のお猪口とおつまみセット」(1500円)などが楽しめる。列車は来年2月までは土、日、休日の運行が決まっている。 |
◆ 観光の問い合わせ ◆
おいでませ山口館 Tel.03・3231・1863 |
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