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東武新型特急「リバティ会津」で南会津へ 福島県/下郷町 |
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大内宿のビューポイントは子安観音前の石段を上ったところにある見晴台。そこから眺めると、視界に昔の宿場町が現れる |
東武鉄道の新型特急「リバティ会津」が4月下旬から運行を開始し、東武線浅草駅から野岩鉄道を経由して南会津の玄関口、会津鉄道・会津田島駅まで直接乗り入れている。南会津・下郷町へのアクセスも便利に。江戸時代の宿場町の風情を今に残す「大内宿」や隠れいで湯の里「湯野上温泉」、100万年の歳月をかけて造り出された景観「塔のへつり」などがある下郷町を訪ねた。
宿場町の風情、大内宿
約400年前の宿場町の面影を今に残す大内宿。一歩足を踏み入れると、そこには34軒のかやぶき屋根の建屋が並び、一瞬、江戸時代に紛れ込んだかのような錯覚に襲われる。旧街道沿いに立つかやぶき屋根の建屋はそば店や土産物店などの店舗兼住居として使われている。
中山道の妻籠宿・奈良井宿に次いで旧宿場としては3番目に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された大内宿は、17世紀初頭に整備されたと伝えられ、江戸時代には下野街道の宿場町として栄えた。その後、1884(明治17)年に日光街道(現・国道121号)が開通すると、その道筋から大きく外れた大内宿は近代化から取り残されたが、そのおかげで宿場町の景観が今も残ることに—。
そんな時代の変遷の中で、住民たちは「結(ゆい)」と呼ばれる相互扶助によりかやぶき屋根の復元やふき替え技術を伝承しながら大内宿を守ってきた。そのうちの1軒、吉村徳男さん(66)は「代々伝承してきた技術を使って、自分たちの力で、かやぶき屋根を維持しています」。ただ、「昔は一度屋根をふいたら約30年もちましたが、今はその半分の約15年しか持ちません」と話す。昔はいろりで火をたいて燻(いぶ)すことでカヤが長持ちしていたが、いろりの使用がほとんどなくなったため、かやぶき屋根の寿命が縮まり、ふき替える手間も増えている。
そうやって、住民が苦心して現代につなげてきた大内宿も、2011年3月11日に起きた東日本大震災の影響を大きく受けた。大内宿観光協会会長の佐藤一夫さん(63)は「3・11以来、風評被害で大内宿を訪れる観光客は大きく減りました」と話す。3・11以前は毎年100万人以上の観光客が訪れていた大内宿だったが、11年は58万人台におよそ半減。その後はやや持ち直したものの、年間70万〜80万人で推移している。佐藤さんは「リバティに乗って大内宿を訪れるお客さんは増えています」と話し、今後に大きく期待している。
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一つ一つの岩にはその形の特徴をとって名前が付けられている塔のへつり |
奇岩連なる「搭のへつり」
100万年もの年月をかけて生み出された岸壁が続く「塔のへつり」。奇岩が連なる迫力ある景色はまさに歴史が造り上げたアートのようだ。「へつり」とはこの地域の方言で断崖や急斜面という意味。ここが昔は海であったという証拠に岩から太古の塩が出てくるという。国指定天然記念物。 |
湯野上温泉の玄関口、会津鉄道湯野上温泉駅の駅舎は珍しいかやぶき屋根。駅構内の足湯につかれば旅の疲れもリフレッシュできる |
湯野上温泉で山の幸
大内宿に一番近い温泉地が湯野上(ゆのかみ)温泉。小野岳の麓、阿賀川(大川)沿いに旅館・民宿合わせて25の温泉宿が点在している山あいの温泉郷だ。「こぼうしの湯 洗心亭」など、どの宿も家庭的な温かいおもてなしが評判。食事では、奥会津の豊富な山の幸を旬の時季に出している |
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◆ 下郷町観光の問い合わせ ◆
下郷町観光協会 Tel.0241・69・1144 |
◆ 循環バスも ◆
特急リバティ会津は浅草駅〜会津田島駅間を最短3時間9分で結ぶ。会津田島駅から大内宿などへ行く鉄道ルートは、会津鉄道で湯野上温泉駅まで行くのが一般的。また、会津田島駅から11月19日(日)までの土・日・祝日に会津バスが会津下郷観光循環バスを運行している。1日フリー乗車券大人1800円。 |
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