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「御食つ国(みけつくに)」の食めぐり 三重県/志摩市、松阪市 |
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リアス式海岸が美しい英虞湾 |
三重県の南東部・伊勢志摩は、古くから天皇の食料を献上する「御食つ国(みけつくに)」と呼ばれる食材の宝庫。2016年には伊勢志摩サミットの舞台となり、地元の幸を生かしたフランス料理が各国首脳に振る舞われた。松阪というと高級牛でおなじみだが、地元では鶏焼き肉という独特の食文化が浸透している。海の幸が主役の高級フレンチと庶民派の肉料理を食し、おいしい三重の旅を楽しんだ。 |
志摩観光ホテルの伝統メニュー「伊勢海老のクリームスープ」。シャルドネなどの白ワインとよく合う |
最高級、海の幸…伊勢海老のクリームスープほか
内海と大小の島々、突き出た幾つもの岬が美しいリアス式海岸の英虞(あご)湾。真珠の養殖いかだが浮かび水面がキラキラ輝く穏やかな景色の中に、「志摩観光ホテル」がある。
開業は1951年。皇室とゆかりが深く、小説家・山崎豊子も愛用した。16年に伊勢志摩サミットのメイン会場となったことは記憶に新しい。伊勢海老(イセエビ)やアワビなど三重の上質な海の幸を主役にしたフレンチを提供しており、料理目当てのリピーターも多い。中でも人気の料理は「伊勢海老のクリームスープ」だ。スープの上にホイップしたクリームをのせて焼き上げた一品。表面に軽く焦げ目がついている。スプーンを入れると香りがフワッとたち上り、エビの濃厚なダシとまろやかなクリームなどの複雑な味わいが口の中でせめぎ合う。「サミットの際には各国首脳がお召し上がりになり、ご好評いただきました。ホテルの長い歴史の中で愛され続けたスープでございます」と総料理長の樋口宏江さん(46)。
食後は、「カフェ&ワインバー リアン」へ。ここはホテル開業時の建物を改装した館「ザクラブ」内にある。赤い屋根が愛らしい同館は、同県鈴鹿市にあった海軍工廠(しょう)の建材を移築して建てられたもの。梁(はり)や柱を配した木のぬくもりあふれる室内は、障子をあしらい、和洋が同居する大人の社交場のような雰囲気。サミット時はワーキングランチの会場になったという。 |
「Do it! 松阪鶏焼き肉隊」代表の森下桂子さん。「松阪は松阪牛だけじゃないんや」と地元目線の魅力をアピール |
庶民派、肉料理…松阪鶏焼き肉
翌日は、松阪名物の「松阪鶏焼き肉」でランチ。「松阪というと松阪牛があまりに有名ですが、地元ではもっぱら松阪鶏焼き肉です」と話すのは「Do it! 松阪鶏焼き肉隊」代表の森下桂子さん(37)。「農家で卵を産み終えた鶏をただ処分するのはもったいないと、みそダレで焼いて食べたのがルーツといわれています。私たちにとっては幼いころから当たり前のようにあった食べ物ですが、意外とほかにはない松阪のご当地グルメであることに気付きました」と隊結成の経緯を語る。
隊のメンバーは、看護師が本業の森下さんはじめ飲食業界と関係のない人々ばかり。自分たちが慣れ親しんだ郷土の味を通して松阪のまちをPRしたいという熱意が隊の活動を支えている。面白いことに、松阪では串に刺した焼き鳥を食べる習慣がない。網で焼いてみそダレで食べる鶏焼き肉がスタンダードだとか。
さっそく若鶏とヒネ(親)鶏を食べ比べてみた。若鶏は軟らかくて食べやすく、ヒネ鶏は歯応えがあり、かむほどに味が出てくる。みそダレを絡めてから網で焼き、さらにタレにつけて食べると淡泊な鶏肉と甘辛いタレがなじんでご飯が進む。
松阪鶏焼き肉が食べられる店は松阪市内を中心に20軒以上。詳細は同県のウェブサイト「つづきは三重で」を参照のこと。食やレジャーなど三重の魅力を楽しく紹介している。
http://www.mie30.jp/ |
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◆ 観光の問い合わせ ◆ 三重県戦略企画部広聴広報課 Tel.059・224・2031 |
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