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「サバの駅」の定番人気メニュー「サバの串焼き」 |
東京から新幹線で約3時間の青森県八戸市は、全国有数の水揚げ量を誇る水産都市。市街には海の幸が気軽に味わえる店や市場があふれ、郊外には多くの文人が散策し、作品を残した景勝地・種差海岸がある。海の景観美が続く遊歩道を歩き、その海でとれる魚介を堪能した。
日本屈指の水産都市
八戸沖は、親潮と黒潮のぶつかる日本屈指の漁場。市内には旬の幸を“買い食い”できる市場や横町が実に多いが、中でも観光客に人気なのが八食センター(Tel.0178・28・9311)だ。鮮魚はもちろん干物・珍味、お菓子、地酒など、約60の地場産品店が軒を連ねる大型の食品市場だ。
とりわけにぎわう鮮魚コーナーには10軒余りの店が並んで、ホッケやニシン、カツオ、ホタテなど、見るからに鮮度抜群の魚介が陳列されて、品定めする客の目を悩ませる。
ウニやシメサバなど生の魚介をその場で立ち食いできる店、買った鮮魚を炭火焼きで楽しめる店、回転ずし店など、イートインスペースも充実。「ここに来ると食べ歩きで半日は楽しめる」と話す地元の常連にも出会った。
ところで海鮮の宝庫といわれる八戸を代表する魚介といえばイカとサバ。イカは水揚げ量日本一を誇り、サバは八戸前沖でとれた「八戸前沖サバ」が有名だ。
そのサバを使った創作料理が自慢の料理店「サバの駅」(Tel.0178・24・3839)を訪ねた。竜田揚げ、みそ煮、つくね、漬丼などレパートリーが豊富。定番人気の串焼きは、焼き鳥のごとく串に刺して炭火であぶり、外はパリッ、脂ののった身のジューシー感がたまらない。
「みなと食堂」の名物「平目漬丼」。行列もしばしばとか |
イカが主役の「ばくだん丼」も同店の名物。青森県産ニンニク使用のしょうゆタレに漬け込んだイカが味のポイント。イクラや卵黄をのせた彩り豊かな一品だ。
朝は地元の人に勧められた「みなと食堂」(Tel.0178・35・2295)に行ってみる。同店で名物の「平目漬丼」を注文した。しょうゆベースのタレで軽く漬け込んだヒラメがご飯の上に敷き詰めてあって、その上につやつやした卵黄がのりボリューム満点。この卵黄を崩して、ご飯の下に染みている漬け汁を全体に絡めて食べると箸が止まらない。
「栃木から来たかいがあったよ、ごちそうさん」と席を立つ旅人を見送る主人の守正三さん(57)の方言は半分以上聞きとれなかったが、温かい雰囲気と笑顔がすてきな人だった。
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緩やかなアップダウンの道が続く種差海岸遊歩道 |
種差海岸の絶景
地元の人たちもよく散策を楽しむという種差海岸へ足を向けた。陸中海岸国立公園の最北に位置し、海沿いに続く約10キロの道を、司馬遼太郎など多くの文人が歩き、感動を作品に残してきた。
特に眺望が良いのは葦毛崎展望台から天然芝生地にかけて。荒々しい岩肌が露出した岩場が続くかと思えば、雄大な砂浜が眼前に開け、さらに歩を進めると、馬の放牧地だったころの名残を残す天然芝の緑や松林など、変化に富んだ風景との出合いに、歩く疲れも忘れてしまう。
春から秋に咲き競う高山植物も見逃せない。「海辺に高山植物が見られるのは、主に初夏に吹くヤマセという風の影響です。この風は昔から八戸を含む沿岸部の農業に甚大な被害をもたらした一方、海岸に高山のような環境を形成して、高山植物という恵みも与えています」とガイドの田向紘平さん(36)。
途中、岩礁に建つ古い木造建ての食堂「小舟渡」(Tel.0178・33・3824)で磯ラーメンを味わった。化学調味料はいっさい使わず、地の魚介でダシをとったスープは磯の香り豊か。まさに八戸の海のエキスを凝縮したような滋味深い一杯だった。 |
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【八戸観光の問い合わせ】
八戸市観光課 Tel.0178・46・4040 |
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