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  今月の旅情報 平成28年5月下旬号  
阪神大震災から21年、「神戸ブランド」の魅力  兵庫県/神戸市

「Kobe INK物語は発色がいい」と竹内さん
 「神戸の魅力は“人”でした」。1995年1月17日、兵庫県南部を襲った震度7の激しい揺れとその後に発生した大火。「阪神・淡路大震災」では6000人を超える犠牲者を出した上、20万棟を超える住宅が失われた。そんな大災害から20年以上がたって神戸市は再び魅力ある都市として再生を遂げている。被災から復興、そして今も地道に「神戸ブランド」に磨きをかけようと励んでいる人々に出会った。

名所のイメージ、インクで表現
 「大震災が起きた時、急いで三宮センター街店(当時)に自転車で駆け付けました」と話すのは(株)ナガサワ文具センター(Tel.078・321・5600)の竹内直行さん(60)だ。地震で混乱した状況を見て内心「もうだめか」と思ったが、諦めずに自転車通勤を続けて店内を片付け、センター街周辺では最初に店を開けることができたという。ナガサワ文具センターは神戸市内などに10店舗を持つ創業134年の老舗。竹内さんは現在、同社商品開発室執行役室長を務めている。震災から10年たって店舗が完全に復旧できた時、竹内さんはあらためて、復興でお世話になった人にお礼の手紙を書こうとした。そして思い付いたのが、神戸の名所などを色で表現した万年筆用インクの開発だった。

 07年に神戸の山と海と町をイメージした「六甲グリーン」「波止場ブルー」「旧居留地セピア」の3色を「Kobe INK物語」(50ミリリットル・1944円)というブランドで発売。それから毎年新しい色のインクを出し続け、今では50色を超えるヒット商品に育っている。


「二郎いちご」をふんだんに使った「レーブドゥシェフ」のスイーツ
「二郎いちご」をスイーツに
 震災後も神戸の豊かな自然が与える恩恵は変わらない。その一つが六甲山系から流れ出るまろやかな水に育まれた市の名産品「二郎いちご」。甘いが傷みやすいので市場にあまり出回らないという。二郎いちごを使ったスイーツがおいしいと評判なのが「レーブドゥシェフ」(Tel.078・706・5080)。オーナーシェフの佐野靖夫さん(63)は「安心できるおいしさをモットーに素材を生かした菓子作りに取り組んでいます」と話す。食品添加物の使用は避け、全国を回って見つけた体にやさしいフルーツや野菜を使用、伝統ある神戸の洋菓子の味をさらに高めようと努めている。


伊藤グリルのビーフシチューは濃いめのソースが特徴
“進化”する老舗の洋食
 幕末の開港以来、欧米から影響を受けて独自の食文化を発展させてきた神戸。1923(大正12)年に創業した神戸・元町の洋食レストラン「伊藤グリル」(Tel.078・331・2818)ではビーフシチューが有名だ。同メニューは、欧州航路貨客船のコック長だった初代から守り継ぐ味がベース。そこに4代目オーナーシェフの伊藤享治さん(56)が現代に合うようにアレンジを加えた一品だ。肉はもちろんパンやコーヒーなど店で出すものにこだわる伊藤さん。「野菜もできるだけ兵庫県産の有機野菜を使用しています」と話す。


明石のオオダコを競り落とし、にっこりの末崎さん
“昼せり”の海の幸提供
 市内の垂水漁港は正午の鐘が鳴ると同時に始まる競り「ひるあみ」で知られる。夜中から朝にかけ明石・淡路の海で捕れた魚介類を小売店が直接買い付ける競りの形態は全国でも珍しいという。

 その新鮮な魚介類を競り落とし、店で提供しているのが同漁港そばの地魚料理店「くら蔵」(Tel.078・754・8996)。競りに参加して15年の末崎美賀子さん(55)は「最初は男性ばかりの中で競り落とすことができませんでした」と話す。今ではそんなことはないが、今も競りの際に示す指のポーズを毎日練習しているという。

港に温泉の新名所
 有馬温泉など温泉地としても有名な神戸。そこに昨年、新たな名所が加わった。震災で大きな打撃を受けた神戸港(新港町)。その地下1150メートルを掘って湧き出た源泉かけ流し温泉が話題のホテル「神戸みなと温泉 蓮」(Tel.078・381・7000)だ。全室テラス付きのオーシャンビュー。7種の岩盤浴と1種の溶岩浴でリラックスできるほか、その場で調理する「ライブ割烹 万蓮」ではライブ感あふれるビュッフェスタイルで料理が楽しめる。

【神戸市観光の問い合わせ】
 観光コンベンション課 Tel.078・322・5339

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