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三浦半島の魚介や野菜…食のスポット探訪 神奈川県/横須賀市 |
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地元野菜がたっぷり乗った「佐島マリン&ファームカレー」。ランチタイムは青木農園三浦野菜のグリーンサラダとパンがついて2430円 |
三浦半島に位置し、東京湾と相模湾に面した神奈川県横須賀市。「よこすか海軍カレー」や「ヨコスカネイビーバーガー」などのご当地名物が有名な“食のまち”だ。同市には、知る人ぞ知る魅力的な食のスポットがまだまだ豊富に点在している。今回は、そんな地元の人たちでにぎわう名店を求めて、横須賀の食めぐりを楽しんだ。
海と富士山、景観も堪能
相模湾に面した市の西部は、葉山や逗子に近く、海と富士山が望める風光明媚(めいび)なエリア。その海辺に建つ「MARINE&FARM」は2015年夏にオープンしたカフェレストランだ。
コンセプトは「EAT LOCALLY」(土地のものを食す)。「付近の魚介や野菜を中心に神奈川でとれる食材のおいしさを知ってほしいです。そのため、できるだけシンプルな調理を心掛けています」とマネジャーの加藤了三さん(33)。
あたかも客船の甲板にいるような気分になるほど海との距離が近い「MARINE&FARM」のテラス席 |
例えば野菜は地元の青木農園産を使用。完全無農薬で味が濃く歯応えはしっかり。人気の「佐島マリン&ファームカレー」にはこの野菜が素揚げされてライスの上にたっぷり乗り、相模湾でとれた魚介を具にした濃厚なルーの味とよくなじむ。
小田原のミカンや三浦半島のスイカなど、その時々の旬の果物を使ったジュースは、渋みや雑味が出ないよう手で搾った果汁のみを使ったストレートタイプ。「神奈川の食材を食べに行こうと思ってもらえる料理を提供したい」と話す。
客席数約100のうち70はテラス席。海を眺めて船上の甲板でくつろぐ気分になれるのも魅力だ。
MARINE&FARM Tel.046・854・9820 |
その日とれたてのシラスを大きな釜でゆでた後、速やかに大きなザルに移しての天日干し作業 |
とれたてシラスはフワッとやわらか
MARINE&FARMから歩いて15分ほどの「平敏丸」は、自前でとったシラスの加工直売所。漁獲量は潮の流れなどに左右されるが、好調な日はとれたてシラスをゆでて天日干しする作業風景を見学できる。できたての釜揚げシラスはフワッとやわらか、塩加減も絶妙だ。つやつやに輝く生シラスはフレッシュな食感と甘さが口に広がる。「手が痛くなるほど冷たい氷水でガッツリしめて生臭さをとり除くなどの工夫をしています。塩加減も店によって違いますがうちは控えめ。ゆでる際に塩以外の添加物は一切使いません」と胸を張るのは代表取締役・平野敏幸さん(45)。
平敏丸 Tel.046・801・1443 |
明治43年創業の老舗「松坂屋」が開発した名物フード「よこすか海軍カレーライスコロッケ」。歩きながら食べられるカレーライスとしても人気。1個200円 |
老舗の「カレーライスコロッケ」
京浜急行・横須賀中央駅から坂を上って徒歩5分の「横須賀 松坂屋」は明治43年創業の老舗精肉店。うっかりすると素通りするほど小さな店だが、客足は絶えない。各商品のこだわりを手書きの文字でつづったPOPが店内を飾っている。例えば「息子の自信作」と記された自家製スモークベーコンは、天然塩で2週間熟成させた神奈川産の豚肉を桜チップでいぶした逸品。そのまま食べるとスモーキーな香りとトロトロな脂の甘さがたまらない。
“カレーの町”にちなむ「よこすか海軍カレーライスコロッケ」は和牛スジ肉を使った自家製ルーにライスと福神漬けを入れた同店オリジナル。スティック状なので歩きながら食べられるカレーライスとしても好評だ。「普通のカレーコロッケだと面白みがない。時代とともに人の嗜好(しこう)も変わりますから日々研究を重ねて新商品に取り組んでおります」と3代目の松井孝郎さん(74)は話す。地場産のトマトやワカメを活用したブルスト(ソーセージ)など商品開発にも情熱で挑む4代目・義昌さん(45)はじめスタッフのチームワークは抜群。「自分の住む町にこんな店があったらいいな」と横須賀市民がうらやましくなるような店だった。
横須賀 松坂屋 Tel.046・822・0986 |