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  今月の旅情報 平成27年12月上旬号  
“美酒食彩”の港町へ  青森県/八戸市

26の屋台が連なる「みろく横丁」
 東京から東北新幹線で約3時間。青森県南東部に位置する八戸は“美酒食彩”の港町だ。日本最北端のブランドサバなど新鮮な魚介に加え、「八戸せんべい汁」やウニ、アワビの吸い物「いちご煮」など郷土料理も充実。コンパクトな町の中に見どころが多く、朝・夜の散策が楽しい。横丁と朝市を歩き、豊かな食文化と港町の人情に触れた。

夜の横丁、人情にも酔う
 イカの水揚げ量日本一を誇る日本有数の漁場・八戸。古くから人やモノの交流拠点として発展。夏の「八戸三社大祭」、冬の「八戸えんぶり」といった祭りにとどまらず、通年でそのにぎわいを楽しめるのが魅力だ。

 八戸文化を味わうには、夜の横丁探訪がいい。五番街やハーモニカ横町、たぬき小路…。中心街には8つの横丁が連なり、昭和の酒場の風情が漂う。戦後、多くの映画館や進駐軍のための娯楽施設が完成、その人たちが利用するためにつくられた飲食街が横丁の始まりだという。

 ネオンに誘われ路地裏を歩いていると、店内から楽しげな笑い声が聞こえてくることも。県外客の評判も高く、郷土料理や新鮮な魚介類を使った八戸グルメ、おいしい酒が味わえる。例えば、名物バーで知られる「洋酒喫茶プリンス」(Tel.0178・44・1827、午後5時〜午前0時)。華やかなシャツを身にまとったマスターの佐々木良蔵さん(65)が作るカクテルはどれも1杯500円と良心的。気さくな人柄もあって店内は和やかな雰囲気だ。

 また、ディープな街歩きが不安という人には、地元ガイドと巡る横丁探訪ツアーがおすすめ。横丁の歴史やうんちくを交えた楽しい解説付きで、約40分で8つの横丁を全て回る。希望があれば、約130軒ある店の中からおすすめ店舗の紹介も。

 「ガイド付き横丁探訪」は通年で実施(日曜休み)。午後7時〜。1人1000円、要予約。八戸観光コンベンション協会 Tel.0178・41・1661


「サバの駅」。サバの漬け丼は、とろけるようなうま味が格別
サバ料理専門店「サバの駅」
 北緯40度30分。日本のサバ漁場として最北端に位置する八戸前沖では、良質なサバが新鮮なまま水揚げされる。低い水温と豊富なエサで脂肪分を蓄えていく同地のサバ。特に脂がのった大型のサバは地域ブランド「八戸前沖さば」として全国的にも評判だ。

 「日本で唯一のサバ料理専門店」を自負する飲食店「サバの駅」では、そんな極上の味を堪能できる。「脂がのった東北のサバは加工品向き。いったん冷凍した上で解凍してから使うのが基本。こうすることでサバに付く寄生虫は死滅し、料理によってサバのうま味も増します。通年で味わえるのが強み」と話すのは“駅長”こと同店店主の沢上弘さん(63)。

 「サバで町おこしを。地元の日本酒と一緒に味わってほしい」と同店では、サバの漬け丼、3種のしめサバ、4種のみそ煮など、こだわりの逸品を提供。特に「銀サバ串焼き」(1本470円)は沢上さんの自信作で、オリジナル地酒(純米酒)の飲み比べセットとともに味わいたい。サバだしを使った「せんべい汁」も絶品だ。

 午後5時〜午前0時。Tel.0178・24・3839


館鼻岸壁朝市。日の出とともに全長800メートルの岸壁に350以上の店が立ち並び、多い日には3万人もの人でにぎわうという
朝市散歩、酒蔵も見学
 夜は遅くても八戸の朝は早い。午前3時、市内各地で始まる朝市も八戸の名物風景だ。

 JR八戸線の陸奥湊駅前の朝市(日曜と第2土曜休み)は観光客にも人気。八戸市営魚菜小売市場を中心に周辺一帯が朝市会場。かっぽう着に“ほっかむり”姿をした「イサバのカッチャ(市場のお母さん)」の威勢のいい掛け声が飛び交う。新鮮な魚介に加え、干物や焼き魚などの総菜も豊富。炊きたてのご飯を注文し、市場で買い込んだ食材を並べれば、自分流の朝市ご飯の完成だ。

 また、冬季を除く毎週日曜日(3月〜12月)には、館鼻漁港で大規模な「館鼻岸壁朝市」が開催されている。


八戸酒造(株)専務取締役の駒井秀介さん(37)は日本酒の魅力を県内外に発信している
 陸奥湊駅から徒歩5分。新井田川沿いに建つ八戸酒造は、港町の晩酌風景を支えてきた造り酒屋だ。1775年創業の老舗。和洋の建築様式が混在した酒蔵(国登録有形文化財)は見学もできる。1910年に商標登録した「陸奥男山」は地元で人気の辛口酒。一方、98年に誕生した「陸奥八仙」は華やかな香りとさわやかな甘みが特徴。女性にも人気のシリーズだ。

 酒蔵見学は試飲付きで、1人500円。平日午前10時〜午後4時(要予約)。酒蔵見学と海上からの八戸観光をセットにした屋形船プランも。Tel.0178・33・1171

【八戸の観光の問い合わせ】
八戸市観光課 Tel.0178・46・4040

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