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  今月の旅情報 平成27年6月上旬号  
良質の水で「銘酒」を醸す  埼玉県/秩父市

国登録有形文化財の武甲酒造店舗
 昔から「百薬の長」といわれ、上手に飲めば美容と健康への効果が見込めると考えられてきた日本酒。その日本酒造りに欠かせないのが良質な水だ。荒川と利根川という2つの川が流れる埼玉県は軟水のため酒質はやわらかく、口当たりのまろやかな酒ができるという。その1つ、荒川水系の秩父市で江戸時代から酒造りにいそしむこだわりの酒蔵や、ウイスキー蒸留所などをめぐってきた。

武甲正宗
 まず、最初に訪ねたのは1753(宝暦3)年創業の「武甲酒造」。その正面入り口には、造り酒屋を表す杉玉が下がっていた。「造り酒屋の軒先に真っ青な杉玉が出ると新酒が出たという印です」と武甲酒造(株)社長で蔵元13代目の長谷川浩一さん(55)は話す。

 同酒造の敷地内にある井戸水は「平成の名水百選」に選ばれた武甲山伏流水で、かつて北海道・洞爺湖で開かれたサミットに提供されたという。

 そんな名水で造られた「武甲正宗」などの酒は、飲みやすくどんな料理にでも合いそう。長谷川さんは「自分に合った日本酒を選ぶ目を持ってほしい」と話す。武甲酒造では、10人以上限定で酒蔵見学を実施している。入場無料。所要時間約40分。要予約。Tel.0494・22・0046


「秩父錦」の米麹(こうじ)。昔ながらの手づくり製法でおいしい日本酒が出来上がる
秩父錦
 荒川を挟んで武甲酒造の反対側に位置するのが酒蔵「秩父錦 酒づくりの森」。こちらは近江商人の流れをくみ、1749(寛延2)年に産声を上げたという。地酒の醸造工場や酒蔵資料館、物産館を併設した観光酒蔵としてにぎわっている。

 同酒蔵では、さまざまなアルコール飲料を製造している。昔ながらの手づくりの技術に磨きをかけて造った地酒「清酒 秩父錦」はスッキリとキレがよくやや辛口。また、米が原料の本格焼酎「秩父焼酎」はソフトで飲みやすい。秩父産ブドウ100%のフルーティーなワイン「シャトー秩父ワイン」はやや甘口タイプ。

 問い合わせは Tel.0494・22・8787


蒸留に使うポットスチル。イチローズモルト蒸留所では、スコットランド製のポットスチルが2基稼働している
イチローズモルト
 NHK連続テレビ小説「マッサン」で注目されたウイスキー造り。それを秩父で行っているのが「イチローズモルト」の秩父蒸溜所だ。2004年に設立された(株)ベンチャーウイスキー社長の肥土伊知郎(あくと・いちろう)さん(49)は、独特の熟成香を求めて日本で最初にミズナラの丸太で作った発酵槽を使用。独自のウイスキー造りにチャレンジしている。原料のオオムギは秩父産のほかイングランドやスコットランド、ドイツから年152トン輸入。3棟に増築した倉庫には、こだわりの製法で造られたウイスキーが入った約3500のたるを寝かせているという。

 同社のイチローズモルトは、日本のシングルモルトウイスキーとしてワールド・ウイスキーアワードなどを受賞。欧州や北米での評価は高い。12年には米国専門誌主催のジャパニーズウイスキー・オブ・ザ・イヤーも受賞している。


県産食材や伝統的な地域の食材を使用しているレストラン秩父路のランチバイキング
埼玉S級グルメ
 秩父市には埼玉県が認定したご当地グルメブランド「埼玉S級グルメの店」が5店舗ある。その1つが「ナチュラルファームシティ農園ホテル」(Tel.0494・22・2000)直営の「レストラン秩父路」。新鮮な野菜を使ったバイキングが好評で、ランチ(30品以上)1944円、ディナー(50品以上)2700円で提供している。要予約。秩父市街や奥秩父連山を望む開放感あふれる店内では、バイキングのほか郷土料理や薬膳料理、マクロビオティックメニューなど安全、安心の料理が食べられる。

 「埼玉S級グルメの店」とは、埼玉ならではのグルメを提供していると認定された店。県内60店舗が認定されている。


【秩父観光の問い合わせ】
秩父観光情報館 Tel.0494・21・2277
 日本酒は適量を節度ある飲み方で飲めば体にいいといわれる。適量といっても個人差があり一概にはいえないが、日本酒造組合中央会のパンフレット「知って得する日本酒の健康効果」によると、日本人の場合は日本酒1〜2合、ビール大ビン1本〜2本、ウイスキーはシングル3杯程度が目安だ。

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