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海自艦艇の間近を走り抜けるチャーター船。運が良ければイージス艦のほか、米空母や原子力潜水艦を見れるかも(©SASEBO) |
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長崎県北部の中心地・佐世保市はハウステンボスを擁する九州屈指の観光都市。また、佐世保市は戦前から続く現役の軍港でもある。大規模テーマパークを離れ港に目を向けると、平和を謳歌(おうか)する現在の日本の中にあって、いざという時の最前線基地としての緊張感を失っていない。“平和を祈る街・長崎”に次ぐ県下第2の都市“平和を守る街・佐世保”を訪ねた。
佐世保港クルーズ
大陸に近く天然の良港を擁する佐世保は、明治期より軍港として開発が進み、やがて大日本帝国海軍屈指の要塞(ようさい)都市として発展。
戦後は平和産業港湾都市を目指し再出発するも、1950(昭和25)年に朝鮮戦争が勃発するや国連軍基地に指定され、再び基地の街としての歴史を歩むこととなった。
現在、佐世保港には米軍艦艇と共に海上保安庁の巡視船や海上自衛隊の護衛艦群が舳先(へさき)を並べる。特に海上自衛隊は虎の子のイージス艦全6隻中3隻を在籍させ有事に備えている。
その日米の両艦艇をガイド付きで海上から見学できるのがチャーター船による「佐世保港クルーズ」だ。停泊中の個々の艦艇のほか、戦前の軍事遺構や現在の北九州の物流拠点としての港湾機能を案内してくれる。約1時間。
ガイドを務める吉川拓朗さん(36)は、「日米の軍艦が同居するのは横須賀と佐世保のみだが、有事に最前線となるのは佐世保。東アジア情勢が不安になる中、佐世保港を見て平和について考えていただければ望外の喜び」と語る。
チャーター船は最低20人からで1週間前までに要予約。料金1人2000円。問い合わせは西海物産館 Tel.0959・28・0345 |
フラワーロード(©ハウステンボス/J-16327) |
ハウステンボスで気分転換
オランダ語で「森の家」を意味する、日本を代表する大規模テーマパーク。約152万平方メートルの広大な土地に、運河と緑に囲まれた中世ヨーロッパの街並みを再現。敷地内にはさまざまなアミューズメント施設や美術館、レストラン、ホテルが点在。全国はもとより世界中からの観光客が夢の世界を楽しむ。ペットも入場可。
開場時間は午前9時〜午後10時(※日により変更あり)。年中無休。1DAYパスポート6200円。問い合わせは Tel.0570・064・110 |
人の頭大もあるスペシャルバーガーを薦める丸田さん。店内で食べ切れなければ持ち帰り用に包んでくれる |
手作りの「佐世保バーガー」
今や全国区のB級グルメ「佐世保バーガー」は、日本にハンバーガーショップが本格出店するはるか前の朝鮮戦争時に誕生した。米軍兵士相手のバーで、リクエストに応え何とか手に入る材料で作ったのが発祥とされる。
ただし佐世保バーガーに決まった特徴はない。大きさや味、材料などは店によりまちまち。共通しているのは「手作り」かつ「注文に応じて作り始める」(作り置きしない)こだわりだ。
現在、佐世保市街には約30もの店舗がひしめくが、そのうちの一つ、佐世保中央IC入り口(海自佐世保資料館すぐ)に本店を構える「ログキット」の一番人気「スペシャルバーガー」(950円)は直径約16センチのビッグサイズ。パティ(牛100%)だけでも100グラムと食べ応え十分だ。そのパティの味を引き立てるオリジナルマヨネーズのほか、具材はチーズ、ベーコン、タマゴ、タマネギ、レタス、トマトなどと至ってシンプルだが、同店オーナーの丸田伸代さん(66)は、「一つ一つの食材にこだわり手間暇かけて作るので、冷めてもおいしく食べられますよ」とにっこり。
ログキット本店の営業時間は午前10時〜午後9時(日・祝日は午後8時まで)。火曜定休。Tel.0956・24・5034 |
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ナイトツアーも
佐世保には米軍兵士・外国人向けのバーやジャズバーが多く軒を連ねる。そんなバーをのぞいてみたいという観光客のニーズに応え、地元のガイドが夜の佐世保を案内がてら、最後はバー、ジャズバーにエスコート。ツアーは2人以上からで3日前までに要予約。金曜・土曜・祝前日の午後7時半から。料金1000円(バーでの飲食代は自己負担)。
【ナイトツアーを含む佐世保市観光の問い合わせ】
佐世保観光情報センター Tel.0956・22・6630 |
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