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徳川家康の命で現在地に移された大須観音 |
トヨタ自動車(株)の拠点があるなど「ものづくり」というイメージが強い名古屋市。しかし、江戸時代には尾州徳川家の下で優れた伝統芸能が育まれ、武士だけでなく町人や商人などの間でも芸能文化が大いに花開いた。そんな名古屋の歴史と文化が今も残る町が同市大須(おおす)だ。
信仰の中心、大須観音
大須は日本三大観音の一つ、大須観音(真福寺)を中心に発展してきた400年の歴史を持つ門前町。名古屋市の繁華街・栄から徒歩約25分、または地下鉄大須観音駅(鶴舞線)と上前津駅(名城線)からすぐのところに中心部、大須商店街がある。
1612(慶長17)年に現在の岐阜県から徳川家康の命により現在地に移された大須観音は、今も名古屋市民の心のよりどころになっている。国宝の「古事記」写本をはじめ1万5000点の貴重な古典籍を所蔵する大須文庫があり、境内では毎月18日と28日の縁日に骨董(こっとう)市が開かれる。
また、古くから庶民らに信仰されているのが陽春院紙張地蔵。体の悪いところと同じあたりに紙(2枚10円)を張るとご利益があるとされ、多くの人が紙を張っていくため、お地蔵様の体は真っ白になっている。
名古屋城本丸御殿の玄関前でポーズをとる「名古屋おもてなし武将隊」の前田利家役 |
信長の逸話伝える
大須の食べ歩きグルメといえば「揚げまん棒」(納屋橋饅頭万松庵)。納屋橋まんじゅうを串に刺して揚げたアツアツが冷めない距離に織田信長ゆかりの万松寺がある。織田家の菩提(ぼだい)寺で、18歳の信長が父信秀の葬儀で位牌(いはい)に抹香を投げ付けたといわれる。
名古屋城本丸御殿の復元進む
江戸時代に歌舞伎、見世物、寄席などの興行が行われ、茶屋や屋台が立ち並び、多くの人でにぎわったという大須。現代ではパソコンショップや電気店が集まる“電脳街”やサブカルチャーの聖地としても知られている。
近年、名古屋の歴史や文化を掘り起こそうとする動きが活発になっている。11月下旬に終了した「やっとかめ文化祭」もその一環。狂言のストリートライブなど多彩な伝統芸能公演や体験講座・ワークショップ、まち歩きなどのイベントが行われた。また、名古屋城で進行している本丸御殿復元工事は3年後にすべてが完了する予定で現在、工事の様子を公開中。観光名所としての名古屋も見逃せない。
日本一! 特大海老ふりぁ〜ランチ
大須散策の前に腹ごしらえ。JR名古屋駅すぐのエスカ地下街で評判なのが「海老どて食堂」(Tel.052・459・5517)の「日本一! 特大海老ふりゃ〜ランチ」(2440円)。長さ約35センチの天然大エビ(シータイガー)フライに、自分でゆで卵を砕いて作る自家製のタルタルソースをたっぷり絡めて味わう。食べやすいように海老バサミも用意している。 |
【観光の問い合わせ】
(公財)名古屋観光コンベンションビューロー Tel.052・202・1143 |
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