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冬景色のニッカウヰスキー余市蒸溜所 |
日本酒やビールをはじめ、ウイスキーやワイン、焼酎…。食材の宝庫・北海道は、バラエティー豊かな酒の産地でもある。道産酒造好適米の誕生やブドウの品種改良が進むほか、NHK連続テレビ小説「マッサン」の放映など今後も道産酒に注目が集まりそうだ。そんな北海道の酒と冬の味覚を楽しめる「美味旬旅」が道内全域で開催中。道産の美味と美酒を求め、冬の交通も便利な小樽と余市を訪ねた。
「道産」を燻製に
余市駅から車で10分。「南保留太郎商店」は、道産素材の燻(くん)製専門店だ。甘エビやニシン、豆腐など伝統の冷燻法で長時間かけて燻製にした品々の試食販売を行う。隣には昭和初期の古民家を改装したスモーク料理の店「燻香廊(けむかろう)」(Tel.0135・48・5100、冬季は火・水曜休み)があり、ランチで味わえる。箸で切れるほどやわらかい「スモークビーフの赤ワイン煮」(1560円)は人気メニューだ。
「マッサン」の工場
ニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝とその妻リタをモデルにしたドラマ「マッサン」が好調だ。広島の造り酒屋に生まれた竹鶴は国産ウイスキーの製造を目指し1918年、スコットランドへ留学。結婚し帰国後、自分の理想とする本格ウイスキー造りの地として選んだのが余市だった。
JR余市駅前には竹鶴こだわりの「ニッカウヰスキー余市蒸溜所」(34年建設)がある。清らかな水、澄んだ空気、冷涼で湿潤な気候…。ウイスキーの個性に影響を与える自然への感謝から環境や景観に配慮された原酒工場。同所では現在もモルト原酒(大麦麦芽で造るウイスキーの原酒)を製造し、その工程をガイドの案内で回る工場見学が人気だ。
「ウイスキー博物館」の入り口 |
赤い屋根と石造りの正門、貯蔵庫など建物の一部は国の登録有形文化財に認定され、蒸溜棟ではスコットランド伝統の製法「石炭直(じか)火蒸溜」(冬季は作業が休み)でアルコールを取り出す。力強く男性的な味わいを生み出すために欠かせないが、技術と手間を要するため、現在では世界でもここでしか行われていないという。
ブドウやリンゴの産地でもある余市で竹鶴はジュースの製造を手掛けて辛抱強くモルト原酒の熟成を待った。40年に念願の第1号ウイスキーが誕生。所内にはそんな竹鶴夫妻の軌跡が学べる博物館や2人が暮らした旧竹鶴邸も。「ニッカ会館」では試飲が楽しめる。
年末年始休業。見学無料(ガイド付き見学は1月から予約が必要)。Tel.0135・23・3131
工場内にブドウの香りが立ち込める「おたるワインギャラリー」 |
小樽の日本酒、ワイン
「北のウォール街」と呼ばれ栄えた小樽には醸造所が多い。搾り立て生原酒が試飲できる「田中酒造 亀甲蔵」や、道産酒造好適米「吟風」を100%使用した蔵出し原酒が買える「北の誉酒造 酒泉館」などを訪ね歩くのも面白い。
一方、JR南小樽駅から車で15分。小樽の街並みと石狩湾を一望できる高台には、道内最大のワインメーカー、北海道ワイン(株)の「おたるワインギャラリー」(Tel.0134・34・2187、年末年始は休み)。同社は余市や空知エリアなどの道産ブドウにこだわり、約80種のワインを製造している。
同社営業部長の岸直行さん(48)は「ブドウジュース以上のおいしいワインは造れないという考えに基づいて、いかにおいしいブドウを育てるかが大事。地元のブドウを使って世界標準のワイン製造を目指します」。館内では瓶詰めラインの見学や季節のワインの試飲も。
「ホテル甘露の森」で提供する「美味旬旅」のメニュー。「道産和牛のすきしゃぶ仕立て」は約300グラムと驚きのボリュームだ |
2月まで「美味旬旅」キャンペーン
公益社団法人北海道観光振興機構は、2015年2月末まで、「美味旬旅よいたびしみる冬の北海道」キャンペーンを展開中。道内約130施設で、北海道の冬の味覚と酒が楽しめるお得な宿泊・飲食プランが満載だ。
小樽朝里川温泉の老舗「ホテル武蔵亭」(小樽市、Tel.0134・54・8000)は、料亭から発祥した料理自慢の宿。「美味旬旅」では「料理長快心の会席膳プラン」(2人1室・1人1万6200円、別途入湯税)を提供する。余市産タコや十勝産牛の陶板焼きなど、全て道産の旬の食材にこだわった内容だ。特典として田中酒造の地酒も。
また、ニセコ昆布温泉「ホテル甘露の森」(ニセコ町、Tel0136・58・3800)では道産和牛やカニ、旬の味覚がコースで豪快に味わえる「和洋折衷特別膳プラン」(平日2人1室・1人1万6092円〜、別途入湯税)を提供。さらに、近くにニセコの名水「甘露水」が湧く同ホテルは温泉も格別だ。“三大美人泉質(硫黄泉・炭酸水素塩泉・硫酸塩泉)”と温まり効果のある塩化物泉が複合する湯はまろやかで心地いい。
◆「美味旬旅」の問い合わせ◆
北海道観光振興機構 Tel.011・231・0941 http://winter.visit-hokkaido.jp/ |
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◆アクセス◆
【JR】新千歳空港→小樽(73分)。小樽→余市(30分)。小樽→ニセコ(約90分)
【バス】冬季は新千歳空港からニセコまで直行のスキーバスが運行(約180分) |
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