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波の浸食などが生んだ自然の芸術「鬼ヶ城」 |
自動車専用道で“脱・陸の孤島”
少し前まで“陸の孤島”とも呼ばれていた三重県最南端地域(熊野市、御浜町、紀宝町)。本州最南端にも近く国道42号線を使っていくつもの峠を越さなくてはたどり着くことができなかった。その地域も今やほとんどが高速道や自動車専用道でつながり、便利になった。昨年、遷宮で話題になった伊勢神宮からも1時間半ほど。神話に彩られた景勝地や一年中食べられるミカンなど、気軽に行けるようになった同地域の楽しみ方を紹介する。
昨年全線開通した熊野尾鷲道路の熊野大泊インターを出ると、いよいよ熊野市に入る。同市には、長さ1キロにわたり大小無数の洞窟が階段状に並ぶ海岸景勝地「鬼ヶ城」がある。波の浸食と地震による隆起がもたらした自然の芸術で世界遺産、国の天然記念物、名勝にも指定されている。
いにしえの熊野古道が至る所に残る同地域は神話の里でもある。熊野市有馬町は、「日本書紀」の国産みの舞台にも登場する。伊弉冉尊(いざなみのみこと)が埋葬されたとされる「花の窟(いわや)神社」はパワースポットとして有名だ。
太平洋に沈む夕日をミカン畑から見る |
ここからは熊野古道伊勢路ルートの浜街道にあたり、熊野市から紀宝町に至る26.6キロの浜辺が続く。那智黒石の産出でも知られる同地方の海岸は、全国でも珍しい玉砂利の浜辺。囲碁の黒石や硯(すずり)としても使われている那智黒石などが流れて玉石となって堆積したという。「21世紀に残したい日本の自然100選」にも選ばれている。
同地域は、北緯33度53分付近に位置し、関東でみると八丈島(北緯33度06分)近辺の位置にあたる。「年中みかんがとれる町」とPRする御浜町は、黒潮が目の前を流れ、年間を通して温暖な気候だ。一般的な温州ミカンをはじめ、甘夏、セミノール、デコポンなど30種以上のミカンが年間を通して栽培され、ミカン畑が至る所で見られる。9月下旬から12月下旬まで収穫できる温州ミカンは、温暖な気候と太平洋からの潮風によって糖度が高くみずみずしい。
また、この地区は大きな火山がないにもかかわらず温泉が多い。熊野古道の本宮道近くには、地下1300メートルから湧出する湯温45.7度の源泉かけ流しの湯ノ口温泉(熊野市、Tel.0597・97・1126)があり、浜街道に近い山間には宿泊施設「熊野倶楽部」(熊野市、Tel.0597・88・2045)がある。
少し足を延ばせば、熊野三山の熊野本宮大社(車で約1時間)、熊野速玉大社(同約20分)、熊野那智大社(同約50分)にも行くことができる。 |
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【アクセスなどの問い合わせ】
熊野市観光協会 Tel.0597・89・0100
御浜町産業建設課 Tel.05979・3・0517 |
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