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全長約4キロ、世界初の三連つり橋である来島海峡大橋。電動アシスト自転車なら30〜40分で縦断可能 |
陽光を受けきらめく瀬戸内海の真ん中、愛媛県今治市から広島県尾道市まで、四国・本州間を貫いて走る瀬戸内しまなみ海道(西瀬戸自動車道)。この海の道が結ぶ芸予諸島の島々は、かつて勇壮を誇った村上水軍が割拠するなど、いにしえよりの要衝として歴史ロマンあふれる地。LCC(格安航空会社)・ジェットスターが昨年から成田(千葉)─松山間を運航開始、気軽に旅行できるようになった四国側から自転車に乗って「しまなみ」の絶景を楽しもう。
しまなみ海道は「サイクリングの聖地」
しまなみ海道は、四国と本州およびその間に浮かぶ大島、伯方島、大三島、生口島、因島、向島などを約10本の橋で結ぶ約60キロの有料道路。大きな特徴として、自転車歩行者道(全長約70キロ)が併設され海の上を自転車で走ることができることから、サイクリング愛好家の聖地ともなっている。
自転車利用には通行料がかかるが、現在「しまなみサイクリングフリー」実施中につき来年3月31日まで無料 |
四国側の起点である来島海峡大橋周辺には、瀬戸内に浮かぶ風光明媚(めいび)な島々と巨大な橋との、自然美と人工美のコントラストを満喫できる複数の展望スポットのほか、サイクリングターミナルであるサンライズ糸山がある。レンタサイクル約480台が置かれ、手ぶらで来てもサイクリングを楽しめる。レンタサイクル利用料はヘルメット付きで電動アシストが800円(4時間以内)、それ以外が500円(1日)となる(ただし1台につき保証金1000円必要。返却時に払い戻し)。
「しまなみ海道の自転車歩行者道は島民の生活道路として併設されたが、年間約17万人の利用者の多くは観光客。潮風を感じながら純粋にサイクリングを楽しむ人もいれば、自転車で島々の観光スポットを巡る人も」とはサンライズ糸山支配人の川原賢二さん(57)。
また同施設は宿泊も可能であり、1室4人以上なら1人あたり2700円と格安。室内には所有自転車を運び込むこともできる。年中無休。レンタサイクル貸出時間は午前8時〜午後5時(4月〜9月は午後8時まで)。Tel.0898・41・3196
写真にある大砲は能島村上家に残された実物。ほかにも同家に伝わった貴重な資料や能島からの発掘品などを展示 |
“海の大名”村上水軍
瀬戸内海は潮流が複雑でかつて航海の難所が多かった。日本史の動乱期、瀬戸内各地にはびこった海賊たちはこの難所を拠点に活動。特に潮流が激しい芸予の能島・因島・来島に割拠した三家の村上氏は“海の大名”として戦国期の瀬戸内に勇名をはせ、毛利や織田など名だたる戦国武将たちと相対した。
能島のすぐ南、大島にある村上水軍博物館は全国でも珍しい水軍をテーマにした博物館。能島村上家を中心に海賊たちの栄枯盛衰を古文書や復元品、最新の研究成果を交えながら伝える。
矢野均館長(67)は、「眼前にある能島は三家に分かれる前の村上水軍の故郷。近年発掘調査が進む能島からの出土品として、海賊たちの痕跡を残す文物も多く展示している」と語る。
入館時間は午前9時〜午後5時。月曜休館。入館料300円。Tel.0897・74・1065
海鮮バーベキュー |
豪快な海鮮バーベキュー
能島の周りを渦巻く宮窪瀬戸の激しい潮流は最大10ノット(時速約18キロ)ともなる。渓谷の急流のような潮流は島に外部からの船を寄せつけず、能島は天然の要塞(ようさい)といわれた。
この急流で育った身の引き締まった魚を、豪快な海鮮バーベキューで食べられるのが、村上水軍博物館隣接の地元漁協が経営する魚食レストラン「能島水軍」だ。
地元の漁師が「宮窪の魚は世界一おいしい」と胸を張る季節の魚介が惜しげもなく七輪に並べられ、ご飯みそ汁付きで1500円。注文は2人前からで要予約。ほかにも天ぷらや刺し身を中心に新鮮な地魚をリーズナブルな値段で味わえる。また潮流体験として、能島をぐるりと回るクルージング(1時間1便・1000円)も申し込める。
レストランの営業時間は午前11時〜午後3時(季節により変動あり)。月曜休業。Tel.0897・86・3323 |
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◆観光の問い合わせ◆
今治地方観光協会 Tel.0898・22・0909 |
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