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夕日を映し黄金色となった谷津干潟に飛来する渡り鳥 |
千葉県北西部、東京湾に面した習志野市は、都心からのアクセスが良好でかつ千葉市に隣接することからベッドタウンの色合いが強い。しかし閑静な文教住宅が並ぶ街並みには幾つもの「日本で初めて」スポットが隠れている魅力ある街であることをご存じだろうか。日帰りでの“初めて”発見の旅はいかが—。
観察フロアには望遠鏡が据え付けられ、常駐のレンジャーによるサポートの下で野鳥観察が楽しめる |
ラムサール登録、干潟では初
1993年、東京湾最奥部に残された約40ヘクタールの谷津干潟が、干潟として日本で初めてラムサール条約(特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約)に登録された。都市部の干潟が登録されたのは世界的にも珍しい。
習志野市の東京湾岸はかつて遠浅の海岸が長くのび、潮干狩りやノリの養殖で栄えていた。戦後、住宅や商工業用地確保のため埋め立てが進み当時の面影はほぼ失われたが、国有地で手を付けられなかった一角が干潟として残った。
高速道路と住宅に取り囲まれた干潟だが、都心における渡り鳥観察の穴場スポットだ。条約批准の翌年にオープンした谷津干潟自然観察センターは、全天候型の野鳥観察および環境教育施設。1階と地階の観察フロアは一面ガラス張りで、野鳥を近くから観察できる。
「春は4月下旬から5月、秋は8月から9月いっぱいが見ごろ。ピークには1日2000〜3000羽のシギやチドリが飛来。冬場もカモを中心に飛んでくる。オーストラリアの足輪を付けた鳥が来ることも」とはチーフレンジャーの星野七奈さん(32)。ただし1日のうちでも潮の干満状況により飛来数が左右されるため注意が必要。
自然観察センターの開館時間は午前9時〜午後5時。月曜休館。入館料370円。JR南船橋駅から徒歩20分。Tel.047・454・8416 |
「大正八年復刻ソーセージ」は1本(700円)でも十分のボリューム感。再現・製造元は八千代市のハム・ソーセージ専門店「DANKE」(Tel.047・481・3970) |
「ソーセージ発祥の味」再現
第一次世界大戦時(1914〜18年)、習志野にはドイツ兵の捕虜収容所が設置されていた。ただ当時は開放的で、日本各地の収容所で捕虜と市民が交流を持ち、習志野でもドイツ兵によるオーケストラ演奏のほか、ワインやソーセージの製法が市民に伝えられた。
特にソーセージは日本発祥地の一つともいわれており、昨年、残された資料を基にかつての製法で「ならしのソーセージ」が再現された。市内の飲食店7店舗で取り扱われており、その一つ、京成本線谷津駅から徒歩1分の「季節料理 あきた」では「大正八年復刻ソーセージ」としてメニューに掲載。本物の豚の腸と豚肉100グラムを使用し防腐剤は使用していない。塩こしょうの素朴な味付けで、一口かじると肉汁が口中にあふれる。「100年前、日本で初めて食べられたソーセージに興味があったしロマンを感じる」とは店主の山﨑昇さん(61)。開店時間は午後5時半〜12時。不定休。Tel.047・476・4840 |
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【観光の問い合わせ】
習志野市商工振興課 Tel.047・453・7396 |
まだある“日本初”
【読売巨人軍発祥地】
谷津公園内に碑がある。1934年、米大リーグチームを沢村栄治はじめ6大学選抜の日本チームが迎え撃った試合はいまだに語り草だが、日米両チームが練習場としたのが同地。この時の日本チームが初のプロ野球球団である巨人軍創設メンバーとなった。
【公共ホール初のパイプオルガン】
ドイツ兵捕虜によるオーケストラ演奏を源流として「音楽のまち」を旗印としてきた習志野には、公共ホールで日本初となるパイプオルガン(高さ12.5メートル、幅6メートル)が習志野文化ホール(JR津田沼駅徒歩4分)に設置されている。演奏会などの問い合わせは Tel.047・479・1212 |
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