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香りと甘さ…食の名ブランド「常陸秋そば」 茨城県/常陸太田市 |
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「赤土」のつけけんちんそば |
おいしいそばが食べたい—。“玄そばの最高峰”との呼び声が高い「常陸(ひたち)秋そば」は、茨城県が誇る食のブランドだ。原産地の常陸太田市周辺には、常陸秋そばが食べられる、こだわりの名店が点在する。シンプルにもりそばで味わうもよし、地元名物の「つけけんちんそば」で味わうのもよし…。「思い立ったが吉日」と、おいしいそばを食べに現地に向かった。
原種を徹底管理
茨城県北部に位置する常陸太田市金砂郷地区は昔からそば栽培が盛んな土地だ。水はけがいい傾斜地という条件に加え、1日の寒暖差が大きいというそば作りに適した地からは、大きく優良な実が育つ。
同県は、名産地・茨城らしいそばの育成を目的に1978(昭和53)年からブランド化に着手、県内各地で収穫されるそばの選抜を行った。その結果、ブランド品種の親種に選ばれたのが同地区の在来種だった。
そばは他の品種と交雑しやすいため、同県はブランド品種の原種を厳密に管理している。現在では、常陸秋そばは県内各地で栽培されているが、その種子はすべて金砂郷地区周辺の原種だ。
常陸秋そばの特長は、「香りと甘さ」。上品な風味で、かむとほのかな甘みが口の中に広がる。その味に魅了されたファンも多く、“最高峰”との称号もうなずける。
野菜の滋味も堪能 つけけんちんそば
今回まず向かったのは金砂郷産のそばにこだわった「手打ちそば赤土(あかつち)」(Tel.0294・72・2008)。同店では、地元名物の「つけけんちんそば」(850円)を注文。ゴボウやニンジンなど地元でとれた野菜がたっぷり入った、熱々のけんちん汁に、冷水で締めたそばをつけて食べる郷土料理だ。そばの風味と野菜の滋味が溶け込んだ素朴な味わいにホッとする。
「常陸秋そばはタンパク質が多く含まれているので、こねた時の粘りが違う。強いコシと甘みをぜひ味わってみてください」と店主の海老根孝さん(56)。長く日本料理の料理人をしていた海老根さんは、そばプリン(400円)やそばチップが入った自家製お茶漬け(200円)など、そばを使った創作料理にも力を入れる。「いつかそば懐石の店を出すのが夢」とのこと。
「桃源」のかき揚げ天せいろそばセット |
“3たて”を提供
次に訪ねたのが「西山の里 桃源」(Tel.0294・73・1300)。水戸藩2代藩主徳川光圀が没するまでの最後の10年を過ごした西山荘の入り口にある。
同店のおすすめは「かき揚げ天せいろそばセット」(1000円)。金砂郷地区の隣、水府地区産の高級そば粉のみを使用したせいろそばは何枚でも食べられそうな絶品だ。特大サイズのかき揚げと刺し身こんにゃくが付くのもうれしい。
マネジャーの桑原利明さん(50)は「おそばは『挽(ひ)きたて、打ちたて、ゆでたて』の“3たて”で提供しています。おいしいですよ」。 |
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【常陸秋そば提供店の問い合わせ】
常陸秋そば振興協議会 Tel.029・239・6300 |
【常陸太田市までのアクセス】
JR常磐線上野駅→水戸駅(特急で約70分)。水戸駅からJR水郡線常陸太田駅へ(約40分)。車の場合、常磐自動車道那珂ICから国道349号へ(都内から約100分)。 |
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