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山宮浅間神社・古代の遥拝所から富士山を望む(富士宮市教育委員会提供) |
日本のシンボル・富士山が「富士山—信仰の対象と芸術の源泉」として、周辺の構成資産群とともに世界遺産に登録された。それと前後し、海から富士山を仰ぎ見る駿河湾フェリーの航路が富士山にちなみ、海の道「県道223号」に認定されている。原始から続く祈りの山として、また海から眺める芸術的な富士山の雄姿を、世界遺産認定に沸く静岡側から眺望した。
「原始信仰の風景」一望…山宮浅間神社
「これが原始富士山信仰の眺めです」と語るのは富士宮市観光ガイドボランティアの会・副会長の伊藤忠正さん(72)。
富士山信仰の総本山・富士山本宮浅間大社 |
富士宮市街地にある富士山信仰の総本山・富士山本宮浅間大社より北方に約6キロ、古代に噴火した溶岩流の先端に位置する山宮浅間神社は、世界遺産「富士山」を構成する資産の一つ。全国に約1300ある浅間神社の中で最も古いと考えられており、社殿はなく磐境(いわさか=石囲いの祭場)を通して山を遥拝(ようはい)していた、古代富士山祭祀(さいし)の原初形態を残す神社だ。
世界遺産登録を控え、環境整備のため周囲にある杉林を伐採したところ、富士山が真正面から見えた。原始の信仰の形を視覚的に復元したのだ。さらに周りからは石垣も発見。伊藤さんは、「古代の神域だったのでは?」と推理する。
富士講の「人穴」
富士山の裾野・朝霧高原にある溶岩洞窟「人穴」は富士講の開祖・長谷川角行が修行を行った聖地。その周りには参詣者建立の登拝記念碑などが約230基並ぶ。
富士講とは、富士山に登ることで健康や幸福など日常の現世利益を追求する信仰のあり方。江戸期、村々では皆がお金を出し合い、代表者が集落を代表して登拝。実際に登れなかった人のためには“富士塚”が各地に造営された。しかし近年、登山の動機を信仰に求める必要がなくなり衰退。だが今でも各地の富士塚で祭りを行う所も多く、富士講は今なお日本人の心に根差している。 |
富士山の大パノラマを船上から楽しめる |
“海上県道”223(ふじさん)号
銭湯でおなじみ、三保の松原からの富士山の眺めのように、海を挟んで富士山を仰ぎ見る景観は古来、歌や絵として芸術的創造をかき立ててきた。清水港から伊豆の土肥港をつなぐ海の道「県道223号」駿河湾フェリー航路はその絶景を見ながら片道65分の旅を楽しめる。
運賃は片道2200円。往復3960円。エスパルスドリームフェリー TEL.054・353・2221 |
「活あじ丼」 |
おいしい「活あじ」
駿河湾奥部、伊豆西岸の内浦湾は日本有数の養殖漁場。富士山を仰ぐ湾内にはいけすがずらりと並ぶ。特にマアジは養殖生産日本一を誇るだけでなく、全身にバランスよく脂が乗りかつ身が締まっており、“活あじ”との名称を持つ。
内浦漁業協同組合総務課長の杉山正憲さん(57)は、「高い養殖技術により魚の身の質をコントロールし、じっくり時間と餌をかけて育てる“活あじ”は鶏に例えればブロイラーではなくブランド地鶏。質や新鮮さで勝負したい」と意気込む。
同漁協では毎週日曜日、漁港内の市場で食堂「いけすや」を開店。海を目の前に「活あじ丼」(900円)、「活あじのわさび葉寿司」(ハーフ600円)などが振る舞われる。営業時間は午前10時〜午後2時(雨天の場合中止も)。TEL.055・943・2316 |
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【観光の問い合わせ】
静岡県観光協会 TEL.054・202・5595 |
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