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幕末・戊辰戦争の舞台をしのぶ 福島県/白河市、棚倉町 |
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戦いの舞台となった白河城。象徴の三重櫓は震災による石垣崩落で現在は立ち入り禁止 |
白河戊辰見聞館
大河ドラマ「八重の桜」の舞台である幕末、東北戊辰戦争。その分水嶺(れい)となった白河口の戦い(1868年)で奥羽越列藩同盟軍の一翼としてひときわ奮戦する小藩があった。先年に白河から移封された棚倉藩である。しかし新政府軍が戦況打開のため棚倉に軍を進めると、決戦を急いだ同盟軍はなんと棚倉を見捨てる…。時代にほんろうされた小藩の悲哀を白河から棚倉(福島県)に追った。
白河戊辰見聞館は、戊辰戦争・白河口の戦いをクローズアップした歴史展示施設。館内には戦争経過を記すパネル展示のほか、貴重な書簡などが並び、会津藩主松平容保、同家老の西郷頼母の書とともに棚倉藩兵を率いた阿部正外(まさとう)の掛け軸も。幕府老中も務めた正外は戊辰戦争では最後の最後まで戦った。
「寿」と大書された阿部正外の掛け軸の横に立つ植村さん。展示されている多くの資料が植村さんの寄贈によるもの |
「戊辰戦争では会津藩や新選組がよく取り上げられるが、白河口の戦いの重要性や地元の志士たちの苦闘も知ってほしい」とは、同館の展示内容をコーディネートしたNPO法人しらかわ歴史のまちづくりフォーラムの副理事長・植村美洋さん(56)。高校教師を務めながら郷土史研究を行う植村さんは、実は白河口の戦いで戦死した棚倉藩士の子孫。だが、偏りない歴史展示を心掛けたという。
「いまだ戊辰の遺恨を引きずっている人々もいるが、憎しみは何も生まない。憎しみを超え和解してこそ未来が開ける。戊辰戦争はそれを伝えてくれる」とし、大河ドラマで多くの注目を集める今年がその契機だと語る。 開館時間は午前9時〜午後5時。月曜休館。入場料200円。TEL.0248・21・9395 |
今は住民憩いの地として紅葉の名所となっている棚倉城跡(棚倉町観光協会提供) |
棚倉・蓮家寺
棚倉藩歴代藩主の菩提(ぼだい)を祭る蓮家寺は今も棚倉藩に降りかかった悲劇を伝える。藩兵主力が白河口に張り付いたまま政府軍の侵攻を迎えた棚倉城(亀ケ城)はたった1日で落城。蓮家寺住職の妻・福井節子さん(70)は境内に立つ藩士の弔魂之碑に手を合わせながら、「阿部家の子女も各地に落ち延びた。正外の息子の奥方は臨月だったため、落ち延びた先で母子ともに亡くなった」と敗者の悲哀を語り継ぐ。
当の蓮家寺は板垣退助ほか政府軍将校の屯所となり会津侵攻の作戦本部に。ただ現在の棚倉城跡は住民の憩いの場。激戦の記憶は遠いものとなっている。 |
白河だるまバーガー |
城の新名物
白河城(小峰城)内にある二ノ丸茶屋の名物、白河だるまバーガー。米粉100%のバンズには、食べた人に開運をもたらすよう神社でおはらいされた焼き鏝(ごて)で白河名物のだるまを刻印。
二ノ丸茶屋で食べられるバーガーは「ヤーコンきんぴら」(350円)と「清流豚カレー風味カツ」(400円)の2種。営業時間は午前10時〜午後5時半。TEL.0248・24・0275 |
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