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日本三名瀑(ばく)の一つ・袋田の滝のある茨城県北西部の大子(だいご)町。都心部から電車で最短なら約2時間半、自動車では約2時間の近距離にありながら、日本の四季を肌で感じさせてくれる豊かな自然の宝庫だ。町を貫く久慈川の清流や、県の最高峰・八溝山に連なる起伏に富む大地—、それらが育む自然の恵みを満喫した。
高さ120メートルの「氷瀑」
《花もみじ よこたてにして 山姫の 錦織り出す 袋田の滝》と、西行法師が詠んだ袋田の滝は高さ約120メートル、幅73メートルの雄大な滝。岩肌を四段に落下することから、“四度(よど)の滝”とも呼ばれるが、一説には春の新緑、夏の水音、秋の紅葉、そして、冬の氷瀑(ひょうばく=滝が凍結)—と四季に一度ずつ来なければ真の魅力が味わえないことに由来するとか。
「袋田の滝の岩盤は同地が水没していた太古、水底に噴いたマグマが水中で急激に冷やされバリバリに割れ固まった岩石(水中火山岩)が隆起したもの。後に河川の浸食で、生成時よりひび割れていた箇所が崩れ四段の滝の景観ができた」とは観光ボランティア大子・阿久津政光さん(57)による解説。
滝の落下点間近にある第1観瀑台は視界いっぱいの大瀑布とそのごう音で迫力満点。エレベーターで第2観瀑台に移動し滝の最上段を望むこともできる。バリアフリーもしっかりしており車いすでも観覧可能。また秋から冬の夜は土日祝日にライトアップが施され、幻想的な絶景が楽しめる。
観瀑施設の利用料は300円。利用時間は午前9時〜午後5時。無休。JR袋田駅前から路線バスが運行。袋田観瀑施設管理事務所 TEL.0295・72・4036
代表的料理の1つ「奥久慈しゃものすきやき」 |
「奥久慈しゃも」 野性味堪能
茨城県ではもともと愛玩用としてしゃもが多く飼われていた。闘鶏であるしゃも肉は身が締まり、低脂肪で歯応え抜群、かつ味は濃い。江戸時代より人気だったが、気性が荒いため群れでの育成が難しく産卵率も悪かった。
戦後、このしゃも肉本来の味を失わずに飼育、商品化するべく、「しゃも」とおとなしい「名古屋コーチン」、産卵に優れた「ロードアイランドレッド」を掛け合わせた結果、大子町の誇る“奥久慈しゃも”が誕生した。
野性味を失わぬその味はどんなブランド地鶏にも負けない高級食材として人気を博す。その飼育法はブロイラー飼育の3倍となる約150日間、十分運動させじっくり育てるもの。「その分手間と餌代がかかり、お店に並ぶ時は安い和牛並みの値段に」と飼育の苦労を語るのは奥久慈しゃも生産組合理事の高安正博さん(55)。同町では60以上の店がしゃも料理をメニューに載せ、各店がしのぎを削りさまざまな料理法を研究している。
女性客に人気のりんご風呂 |
温泉でゆったり
大子は温泉郷。ナトリウム硫酸塩泉が多く、神経痛や関節痛、動脈硬化症などに効能があるという。大子温泉やみぞ(大子町矢田、TEL.0295・72・1511)では名産であるりんご約100個を湯船に投入する「りんご風呂」が名物(1月末まで)。りんごの甘酸っぱい香りが湯船に広がりアロマ効果抜群。美容や疲労回復も期待できる。 |
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【大子町観光の問い合わせ】
大子町観光協会 TEL.0295・72・0285 |
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