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近江神宮内の近江勧学館で開かれる競技かるた |
滋賀県の県庁所在地・大津市。古くは天智天皇の時代、一時都を奈良・飛鳥から近江・大津に遷都し、大津京が誕生した。大津には、同天皇をはじめ紫式部、清少納言など歴史に登場するスーパースターが和歌に詠んだ「百人一首の聖地」が点在している。その和歌に歴史ロマンを尋ねながら、近江路を旅した。
近江神宮
百人一首は、百人の歌を一首ずつ選んだ歌集。歌人・藤原定家が古今集(905年)から続後撰集(1251年)までの勅撰集の中から選んだとされる。
百人一首の巻頭歌は天智天皇。近江神宮は同天皇を祭っている。同神宮は、皇紀2600年を記念し、1940(昭和15)年、大津京にゆかり深い地に建設された。約20万平方メートルという広大な境内には、大津京の往時を感じさせる落ち着いた雰囲気が漂う。
境内にある「時計館宝物館」は和時計を中心に古今東西の時計約180点を常設展示。
日本の時計制度は、同天皇が大津の都に漏刻(水時計)を設置、世に時間を知らせたことに始まるという。
また同神宮内の近江勧学館では「競技かるた名人位、クイーン位決定戦」など数々のかるた大会を毎年開催している。同神宮ゆかりの歌人には、柿本人麻呂がいる。
近江神宮は京阪電鉄石山坂本線「近江神宮前駅」下車徒歩10分、参拝料無料、時計館宝物館の入場料は大人300円。TEL.077・522・3725
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三井寺
園城寺(三井寺)は、境内に天智、天武、持統の三天皇の御産湯に用いられたとされる霊泉(井戸)があることから「御井(みい)の寺」と称され、後に「三井寺」と通称されるようになった古刹(こさつ)。近江八景のひとつ「三井の晩鐘」は響きの良さに定評がある。同寺にゆかりの百人一首の歌人は行尊(前大僧正行尊)。若き日に同寺で修行したという。
三井寺は、京阪電鉄石山坂本線「三井寺駅」下車徒歩10分、入山料大人500円。TEL.077・522・2238
紫式部が源氏物語の構想を描いたとされる石山寺「源氏の間」 |
石山寺
石山寺は、紫式部が源氏物語の構想を描いたとされる「源氏の間」が残る。紫式部は同寺に7日間参籠(さんろう)。「こころ澄みわたり、にわかに物語の構想がまとまり、書き始めた」と石山寺縁起絵巻には記されている。同寺では春と秋に寺の歴史や文化、ゆかりの紫式部と源氏物語にちなんだ展示会を開催。
石山寺は京阪電鉄石山坂本線「石山寺駅」下車徒歩10分、入山料大人500円(豊浄殿入館料は別途)。TEL.077・537・0013 |
数多くの歌に詠まれたことで知られる「逢坂の関跡」 |
逢坂の関
数多く歌に詠まれたことで知られる「逢坂の関跡」は2009年、「逢坂の関記念公園」として整備。歴史散策に訪れる人々がほっとひと息できる休憩スペースになっている。逢坂の関や逢坂山を詠んだ、平安時代の蝉丸、三条右大臣、清少納言らの和歌の碑も建ち並んでいる。
逢坂の関記念公園は京阪電鉄京津線「大谷駅」下車徒歩3分。無料。
蝉丸神社
蝉丸神社は大津市内に上社、下社(関蝉丸神社)、分社の三社があり、蝉丸を祭る古社。蝉丸は平安時代の琵琶の名手。今昔物語などによると、目が不自由であったにもかかわらず、音曲の神としてあがめられたという。
三社のうち特に関蝉丸神社の境内は神秘的な雰囲気が漂う。本殿裏の細い山道の入り口に絶世の美女といわれた小野小町の塚などがある。
関蝉丸神社は京阪電鉄京津線「上栄町駅」下車徒歩10分。観覧無料。 |
【観光全般の問い合わせ】
公益社団法人びわ湖大津観光協会 TEL.077・528・2772 |
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