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  今月の旅情報 平成24年10月上旬号  
“生きている地球”を体感  長崎県/島原半島

普賢岳山頂から平成新山を望む
 世界有数の活火山・雲仙岳山系を抱える長崎県の島原半島は、半島全体が“地球科学的に重要な自然遺産の保存・活用”をうたうジオパークに認定されている。なかでも1990〜95年にわたる雲仙の主峰・普賢岳噴火で同山山頂付近に誕生した溶岩ドーム・平成新山(標高1483メートル)は生きている地球を体感できる絶好のスポット。荒ぶる大地と共存し、その恵みを糧に共生してきた島原・雲仙を、地球科学の目線から旅した。

平成新山に迫る新登山道
 多くの人命を奪った普賢岳(雲仙市・標高1359メートル)の登山は火山活動が沈静化した98年春に解禁されている。崩落の危険性があるため現在も平成新山には登れないが、普賢岳頂上が新山を望む絶好のビューポイントであることから登山者でにぎわっている。

 そして今年春、立ち入り禁止区域ぎりぎりまで平成新山へ迫る新登山道が解禁。新山を目の前に、積み上がった巨石やあちこちから上がる水蒸気など迫力の風景が望める。

 普賢岳登山の起点となるのはバス発着所やロープウエー駅のある中腹の仁田峠(標高1070メートル)。ロープウエーを経由し近傍の妙見岳(同1333メートル)、国見岳(同1347メートル)を尾根伝いに登っていくと、新登山道の入り口となる鬼人谷口に到達。新登山道は夏でも冷気漂う「西の風穴」「北の風穴」を経て平成新山の山裾と普賢岳山頂を時計回りにぐるりと回るもの。元道に戻ったらあざみ谷側の比較的なだらかな山道で下山できる(こちら側からの登山も可能)。

 緑あふれる山に突然溶岩による荒々しい大地が広がる平成新山の風景は世界の地質学者、火山学者が訪れる地球科学の最前線だ。案内してくれた島原半島観光連盟の田中秀穂さん(50)は「自然現象のスケールの大きさを感じてほしい」とその魅力を語る。


原城天守跡にたたずむ白い十字架
島原の乱の舞台、原城跡
 天草・島原の乱の舞台となった原城跡(南島原市)。現在は激戦を物語るものはなく、天守跡の小高い丘に立つ大きな十字架のみが過去を物語るよすがとなっている。

 一揆側参戦者約3万7000人の大半は島原半島南部住民が村ぐるみで参加したもの。「南部の村々はほぼ全部が参加、中部は一部の村が参加、だが北部は全村が不参加だった。これは常にプレート(地表を覆う岩板)が動き続ける地球のメカニズムに原因がある」と解説してくれたのは、島原半島ジオパーク事務局の大野希一さん(44)。

 太平洋プレートとフィリピン海プレートが沈み込む日本列島は常に押し縮められる力が働くが、九州地区はフィリピン海プレートが斜めに沈み込むため、横にずれながら押された地面には南北方向に伸びるような力が働く。この影響を受けた島原半島は北端より南端が早く南に移動するため、半島内部に亀裂(断層)が生じ、雲仙を含む中部が陥没し“雲仙地溝”を形成。北部と南部の住民の交流は制限され、半島全域が一揆に立ち上がることは不可能だった。

 もし島原半島が平坦だったら乱の行方はどうなったのか、原城天守跡にたたずむ十字架は何も語らない。


おすし5貫とちゃんぽんの「小浜ちゃんぽんにぎりずしセット」(1080円)
小浜ちゃんぽん
 “小浜ちゃんぽん”は雲仙の麓、小浜温泉(雲仙市)の名物。“小浜人”は祝いの日に、おすしと一緒に出前をとるほどのちゃんぽん好き。すし店「よしちょう」ではおすし5貫とちゃんぽんの「小浜ちゃんぽんにぎりずしセット」(1080円)が一番人気だ。また店内では温泉浴場も経営。食事をすれば入浴料無料。第3水曜定休。営業時間午前11時〜午後10時。よしちょう TEL.0957・75・0107

【島原・雲仙ガイド案内】
■普賢岳登山
 山岳ガイドがジオ(地質学)の不思議を解説しながら一緒に登山(1人:3000円/人、2〜8人:2500円/人)。
 島原半島観光連盟 TEL.0957・62・0655
■原城跡
 近年の発掘を踏まえ乱の様相を解説(1〜3人:500円/人、4〜15人:1律2000円)。
 南島原ひまわり観光協会 TEL.0957・76・1800

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