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美しさを競うように、異なるデザインの格子が並ぶ |
もともとは製塩業だったという竹鶴酒造。「自然の恵みを生かした『酒らしい酒』を造り続けます」と竹鶴壽夫社長 |
「安芸の小京都」と称される広島県竹原市。同市の「たけはら町並み保存地区」(国重要伝統的建造物群保存地区)は、そこかしこに江戸の風情を残す観光スポットだ。その町並みは、都市景観100選(国土交通省)にも選ばれている。歴史情緒を堪能しようと、同市を散策した。
商家町の面影訪ねて
平安時代に京都・下鴨神社の荘園として開墾されたという竹原。江戸時代には、製塩業や酒造業が盛んになり、瀬戸内の要衝の地として栄えた。現在の町並み保存地区は往時の姿をそのままに伝える。
JR竹原駅から歩いて15分ほどで町並み保存地区へ。広さ約5ヘクタールの一角に商家や寺などがひしめき、一歩足を踏み入れると、江戸の商家町にタイムスリップした感覚に。
「たけはら観光ガイド会」の高山美智子さん(73)の案内で散策した。「竹原の町家の特徴に、意匠を凝らした『竹原格子』があります。縦格子に横格子を加えた変化のあるデザインなど、一軒一軒が異なる美しさです。芸術的な格子を見て歩くだけでも楽しいですよ」と高山さん。
西方寺「普明閣」 |
町並みを一望するには、高台に建つ西方寺「普明閣」がおすすめ。京都の清水寺を模して建立された観音堂で町のどこからでも見えるシンボルのような存在だ。楼上からは竹原の家並みはもちろん瀬戸内海の眺望も。
同市はまた、江戸時代の儒学者・頼山陽をはじめ、池田勇人元首相やニッカウヰスキーの創設者で「日本ウイスキーの父」と呼ばれた竹鶴政孝ら傑物を多く輩出している。彼らのゆかりの地を訪ねるのも一興だ。町並み保存地区には、頼山陽の祖父惟清の旧宅や竹鶴政孝の生家(竹鶴酒造)なども。特に竹鶴酒造(享保18年創業)は現役の酒蔵で、独特の風情あるたたずまいだ。このほか、唐破風の屋根が特徴の松阪邸や、竹原市歴史民俗資料館なども必見だ。
たけはら観光ガイド会(TEL.0846・22・7730)は随時ガイドツアーを実施している。料金はガイド1人につき2000円(所要時間は約2時間、2日前までに要予約)。
ところで、町並みを散策するシニア層に交じって、若者の姿もけっこう目立つ。同市を舞台に女子高生の日常を描いた人気アニメ「たまゆら」の影響だそうだ。アニメに描かれたスポットを“巡礼”する熱心なファンが多いのだとか。 |
使用する白身魚は、マダイやホゴ、メバルなど。まろやかな塩気が絶妙のおいしさ |
幻の郷土料理「魚飯」
竹原でぜひ味わいたいのが、“幻の郷土料理”魚飯(ぎょはん)。白身魚を浜焼きにしてほぐし、錦糸卵やエビ、シイタケなどの具材と一緒にご飯に乗せ、だし汁をかけて食べる。江戸時代から昭和にかけて製塩業が盛んだったころ、祝い事や祭事などに食べられていた郷土料理だ。塩田が衰退するとともに消えていった魚飯を地元有志が復活させ、今では市内の料理店で食べることができる。
おすすめは、和の空間で魚飯を味わってもらおうとNPO法人ネットワーク竹原(TEL.0846・22・0214)が企画した「たけはら魚飯四季彩膳」。竹原市重要文化財「森川邸」の座敷で魚飯(仕出し)を食べるプランだ。森川邸の広大な屋敷も観賞でき、ぜいたくなひとときを過ごすことができる。料金は1人2300円(2日前までに要予約、昼食のみ)。申し込みはネットワーク竹原へ。 |
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ホテル賀茂川荘 |
【宿泊】
湯坂温泉郷「ホテル賀茂川荘」…画家の奥田元宋や門下生の作品コレクション(約150点)、1500坪の日本庭園が自慢の宿。浴場は「信楽焼花園露天風呂」や「桧造りジェット風呂」など。
問い合わせはフリーダイヤル0120・55・8080
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【お土産】
道の駅たけはら TEL.0846・23・5100 |
【竹原へのアクセス】
山陽新幹線三原駅からJR呉線に乗り換え、約35分で竹原駅へ
広島空港からは車で約25分 |
【観光全般の問い合わせ】
竹原市観光交流室 TEL.0846・22・7745 |
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