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眺望が美しい岡本屋の庭園露天風呂。別府明礬橋の下にはサルで有名な高崎山が見える |
「明礬地獄遊歩道」(岡本屋直営)とわらぶき屋根の湯の花小屋。温泉郷のあちこちの岩の間からグツグツという音が聞こえ、噴煙が立ち上る |
別府、浜脇、観海寺、堀田、鉄輪(かんなわ)、明礬(みょうばん)、亀川、柴石—。「別府八湯」と呼ばれる8つの温泉郷から構成される別府(大分県)は、世界第2位の温泉湧出量を誇る「温泉天国」だ。中でも明礬温泉は、山あいにひっそりたたずむ“湯の隠れ里”。わらぶき屋根の「湯の花小屋」が立ち並び、湯煙と温泉独特の硫黄の香りに包まれる。変わらぬ景観に極上の湯、各旅館の創意…。情緒漂う温泉郷で、ゆったりと里帰り感覚を満喫した。
湯の花小屋
東京から飛行機で約100分、到着した大分空港からは車で50分(JR別府駅からバス約30分)。別府八湯の中で最も高い場所(標高400メートル)に位置する明礬温泉は、350年の歴史を持つ湯治場だ。泉質は硫黄泉、緑礬泉で、神経痛やリウマチ、皮膚病に効能があるという「美肌の湯」。湯煙上る別府の町並みと別府湾が一望でき、個人客のリピーターが多いのも特徴だ。
「上質の湯と山里全体を包む硫黄の香り。ひなびた雰囲気の明礬は、温泉を実感できる場所です」。明治10年創業の老舗旅館「岡本屋」従業員の糸長輝恵さん(42)は話す。透明な内湯に対し、日本庭園の露天風呂は青みを帯びた白濁の湯が特徴の同館。自噴100%という自慢の天然温泉は柔らかな肌触りの湯でゆったりと漬かることができる。春には庭園のツツジが美しく、東洋一大きなアーチ橋「別府明礬橋」の下に高崎山がすっぽりと収まる景色もぜいたくだ。
地蔵巡り、温泉スイーツの食べ比べ…。コンパクトな明礬温泉郷は1時間ほどの散歩にいい。蒸気が噴出するこの一帯は江戸時代、別府で初めて明礬を採取した史跡名所。点在する「湯の花小屋」では、同地の活発な噴気を利用して天然の入浴剤「薬用 湯の花」を製造。小屋方式のこの製法は世界でもここだけと珍しく、平成18年に国の重要無形民俗文化財に指定されている。
湯宿巡り
本田麻也さん |
今回、宿泊は明治7年創業の温泉旅館「ゑびすや」へ。懐かしさあふれる造りの本館と、和モダンテイストの離れ部屋からなる同旅館は、レトロとモダンが出合う宿。家族風呂も充実し、旬の食材を生かした創作料理はボリュームたっぷりで見た目にもおいしい。おかみの本田麻也さん(46)は、「一人旅の方やシニアの男性客もゆっくり過ごせるのが明礬。田舎のおばあちゃんの家に来たような里帰り感覚になれるんでしょうね」とほほ笑む。
3年前にリニューアルした「山田屋」は、湯治宿の伝統に、おかみ・河野由理さん(58)のこだわりが加わった個性派の宿だ。「空間、音楽、料理。私自身も楽しみながら居心地の良さを追求するのがモットーです」。代々受け継がれてきた湯は別府市内で唯一という希少な「緑礬泉」。PH1.7という強酸性の湯で、強力な殺菌力はアトピー性皮膚炎などに効果があるという。体の芯まで染みわたる熱めの湯を味わえば、湯上がりはシャキッと壮快に。
また、「ホテルさわやかハートピア明礬」では、宿泊予約時に注文すれば介助付き入浴サービス(1時間2000円)も。
「元祖地獄蒸しプリン」(1個230円) |
地獄蒸しプリン
別府スイーツを代表するプリン。その人気に火を付けたのが岡本屋売店の「元祖地獄蒸しプリン」(1個230円)。噴気を使って一つ一つ手作業で仕上げた同商品は、しっとり濃厚な味わいと、苦味のあるカラメルが調和した大人の味だ(地方発送にも対応)。
3年前に発足した明礬温泉協同組合が進める「よもぎプロジェクト」。「体の中からもきれいに、元気になれる商品作り」をコンセプトに、天然ヨモギを使用したまんじゅう、あめ、茶葉、ペットボトル茶の4商品を開発。特に冷やしたペットボトル茶は和ハーブのような味わいで湯上がりに最適。心にも体にも優しい湯の里の逸品だ。 |
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【観光全般の問い合わせ】
明礬温泉協同組合事務局 TEL.0977・75・8132
【お得な情報】
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