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桜の名所として知られる弘前城 |
藩政時代に津軽家が居城し、弘前藩(通称:津軽藩)の藩庁が置かれた弘前城。2011年に築城400年を迎え、弘前市内ではさまざまな記念行事が行われた。そんな取り組みの一環で今注目されるのが、かつて津軽の殿様が食べた料理を当時の文献を基に、現代風に創作した「津軽殿様御膳」だ。名城の桜と、うまい地酒も楽しみながら津軽の“お殿様気分”を体感しよう。
弘前城は司馬遼太郎が「日本七名城の一つ」と紹介した北の名城だ。現在、弘前公園として管理される広大な城内には三重の堀、5つの門、3つの櫓(やぐら)が残り、現存の三層天守は国の重要文化財に指定。築城は弘前市の街並み形成の礎となり、さまざまな文化や歴史を育んできた。
藩政時代の文献を基に再現された「津軽殿様御膳」 |
中でも4代藩主・津軽信政(1646〜1710)は「弘前藩中興の英主」といわれ、法令整備や新田開発のほか津軽塗など産業を興した人物。藩政時代の料理が文献に記録されたのもこの時代からで、現代に受け継がれた膨大な史料をヒントに誕生したのが「津軽殿様御膳」だ。
アワビの白煮や岩木高原の豚・地鶏、幕府献上の魚「タラ」を使った煮物…。地元郷土食物史研究家の木村守克さん(76)が藩庁日記などの文献をひもとき、料理は津軽の食材や文化の普及・啓発に努める料理人の会「弘前四條会」が担当した。「100%地元の食材にこだわった。切り方など当時の技を取り入れつつ、現代の食事情に合わせた味付け」と同会会長の成田明夫さん(62)。木村さんの料理解説にイラストを添えた巻物付きで、見た目にも楽しい演出だ。
市内6店舗で通年提供。料理内容は各店共通で3150円。要予約。事務局(旬彩料理うしやま内)TEL.0172・40・2008 |
土居真理さん |
自慢の地酒
花見とくれば酒。「じょっぱり」(六花酒造)、「豊盃」(三浦酒造)など弘前にはうまい地酒が多い。
清酒「松緑」の醸造元、(株)齋藤酒造店(TEL.0172・34・2233)は、地域に根差した酒蔵だ。江戸末期から酒母を造って津軽一円の酒蔵に供給し、1904年から酒造りを開始。地元弘前大出身の杜氏(とうじ)を含め、酒米、水、酵母の全てが津軽産。「飲んでうまい、喜ばれる酒」を信条に、昔ながらの手作りにこだわる。土居真理代表取締役社長は「親から子、孫まで3世代で飲んでもらえるのが地酒だと思う。1日の最後に“お疲れさま”で飲んでほしい」。ケーナの音色を仕込み蔵に響かせ、おいしい酒造りに励んでいる。
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嶽温泉 |
白濁の名湯
弘前市内には、津軽家の菩提(ぼだい)寺である長勝寺や信政をまつる高照神社など貴重な文化財も。観光の拠点には岩木山の麓にある嶽(だけ)温泉がおすすめ。昔ながらの湯治場の風情を残し、4代藩主・信政の生母も訪れたといわれる名湯だ。今回宿泊した「小島旅館」では100%源泉かけ流しの温泉を満喫。濃厚で白濁した湯はあたりがやわらかく、湯船に使われた青森ヒバのぬくもりも心地いい。 |
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弘前さくらまつり 開催期間は例年4月23日〜5月5日。弘前公園内の約50品種約2600本の桜が見ごろを迎える。まつり期間中、露店が軒を連ねるほか、幻想的な夜桜が楽しめるライトアップ(日没〜午後11時)も。津軽三味線全国大会や津軽五大民謡大会なども開催。本丸・北の郭は有料(大人300円)。 |
【観光全般の問い合わせ】
(社)弘前観光コンベンション協会 TEL.0172・35・3131 |
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