|
まるで庭園のような、安達屋(TEL.024・591・1155)の大露天風呂「大気の湯」。洞窟風呂や寝湯もあり、高湯温泉一の広さ |
福島県北部に位置する福島市周辺は、果物や日本酒など自慢の特産品がいっぱいだ。また、「飯坂」や「土湯」など良質の温泉地も多数抱える。寒空の下、何もせずにいい湯に漬かって、おいしいものを食べる。冬ならではの楽しみだ。現地に足を運べば、震災復興の一助にも。“芳醇(ほうじゅん)なひととき”を求めて、福島市へ向かい高湯温泉まで足を延ばした。
名湯・高湯温泉
開湯400年の高湯温泉は、福島駅から路線バスで約40分、吾妻連峰の中腹にある山里の温泉だ。硫黄成分の含有量が高く、濁り酒のように白濁した温泉は「薬効あらたか」とリピーターも多い。9軒の宿と共同浴場「あったか湯」からなる素朴な温泉地の趣がいい。
加水や加温などをしない「源泉かけ流し宣言」を東北で初めて行った同温泉。高湯温泉観光協会(TEL.024・591・1125)の永山博昭事務局長(56)は「酸性泉なのにピリピリせず、滑らかな肌触り。漬かっていただくと分かりますが、非常に“温泉力”があるお湯です」と自負する。 |
酒どころの“酒屋”
温泉とくれば、「ちょっと一杯」となるのが人情。福島市に隣接する二本松市をはじめ、福島県には多数の蔵元が点在。全国有数の酒どころだ。
温泉に向かう前にぜひ寄っておきたいのが、福島市天神町の「小さな酒屋 きしなみ酒店」(TEL.024・534・3940)。店名の通り蔵造りの小さな店舗だが、3代目店主・岸波加代子さん(52)の日本酒にかける思いは熱い。「実は日本酒は苦手だったのですが、おいしい銘柄に出合ってからはお酒の奥深さに気付きました」と岸波さん。日本酒は熱と光に弱いため、同店ではすべて新聞紙で瓶を包み冷蔵保存している。地酒を中心に常時50〜70種を取りそろえ、中には同店でしか買えないオリジナル銘柄も。
「福島のお酒では、純米酒『壺中春』(末廣酒造、やや辛口)や、今の時季はお鍋にも相性抜群の純米酒『奈良萬』(夢心酒造、辛口)あたりがおすすめです」 |
地元でとれた甘みたっぷりのイチゴ |
旬の果物や川俣シャモ
福島市周辺は、リンゴ(9〜11月)やモモ(7〜9月)など、一年中果物が収穫される「くだもの王国」だ。果物や野菜を求めるなら、福島駅から高湯温泉に向かう途中にあるJA新ふくしまの農産物直売所「ここら」(TEL.024・592・1088)がおすすめ。これからの旬は甘みたっぷりのイチゴ(12〜5月)。ここでは、農家から直接届いたイチゴなど生鮮品をリーズナブルな価格で提供している。
「陽風水」で食べられる「川俣シャモの丸焼き」(要予約、1羽6500円) |
また、ぜひ味わいたいのが福島の誇るブランド地鶏「川俣シャモ」。(株)川俣町農業振興公社(TEL.024・566・5860)が一元管理して育てたシャモで、歯応えとコク、ジューシーなうま味が特長だ。高タンパク、低脂肪なので、健康が気になる人にもぴったり。
川俣シャモは専門店「陽風水(ひふみ)」(福島市、TEL.024・522・1455)などで味わうことができる。同店では、川俣シャモの丸焼きコースや、シャモのすき焼きなど多彩なメニューで舌を楽しませてくれる。 |
|
【アクセス】
東京駅から東北新幹線福島駅下車(約1時間半)。高湯温泉へは、福島駅から福島交通(株)(TEL.024・535・4101)の路線バスで約40分。 |
【おすすめ情報】
お土産や観光情報などは、福島駅西口すぐの「コラッセふくしま」(福島県観光物産館、TEL.024・525・4031)が便利だ。ここでは「大堀相馬焼」や「会津塗」などの伝統工芸品や日本酒、食品…と約2300に上るアイテムを取りそろえている。 |
|