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比叡山延暦寺を統べる根本中堂 |
日本最大の湖・琵琶湖と古都京都の街並みを東西に望む霊峰・比叡山は、日本仏教の中心地として、古来あまたの僧が修行に励み、長く祈りと癒やしをもたらしてきた。現在も比叡山で続く修行と祈り、そして琵琶湖がもたらす癒やしを求め湖畔を巡った。
神秘の「行者道」へ
最澄開山以来1200年の歴史を誇る比叡山延暦寺。滋賀と京都の境にある比叡山全域を境内とし、総本堂の根本中堂を中心に多くの寺院が甍(いらか)を連ねる。代々多くの僧が修行を積み、浄土宗の法然、浄土真宗の親鸞、日蓮宗の日蓮など日本仏教各宗各派の始祖となった高僧を数々輩出したことから“日本仏教の母山”と呼ばれてきた。
この比叡山で行われる修行の中で荒行中の荒行とされるのが「千日回峯行」だ。細く険しい比叡の峰を、約250カ所の霊場を巡拝しながら1日約30キロ、時には80キロ歩くもので、これを7年間で1000回繰り返す。回峯行者は死に装束をまとい、風雪や夜の闇の孤独に耐え、トータルすれば地球を約1周する距離を踏破する。比叡山の長い歴史上50人しか果たせなかった究極の修行だ。
比叡山ではこの回峯行者の道と並行してウオーキングコースが整備されている。入山時にチケット代わりに渡されるルートマップをたどって霊峰の神秘と景観を堪能しながら諸寺を巡り、祈りをささげつつ歩けば自分を見つめ直すことができるかも。さらなる修行を希望する場合は宿坊「延暦寺会館」に宿泊し座禅や写経を行う修行体験もできる。
参拝時間は午前8時半〜午後4時半。入山料は大人550円。修行体験は完全予約制で受け付けは2人以上。TEL.077・578・0047 |
滋賀側からケーブルカーで比叡山を登る。眼下に広がるのは琵琶湖と坂本の街並み |
浮御堂、湖の絶景
芭蕉や一茶、広重、北斎などあまたの文人墨客が訪れた琵琶湖の絶景スポットが「浮御堂」。湖に突き出た橋桁の先端にある御堂は文字通り湖に浮かぶ。
御堂の濡(ぬ)れ縁からは東に伊吹山、近江富士(三上山)、西に比叡山、北に琵琶湖大橋の大パノラマ、そしてそれら風景を写し取る琵琶湖の湖面を一望できる。浮御堂からの風景は室町時代に選定された近江八景の1つ、「堅田の落雁」として称賛され、今に続いている。
拝観料300円。TEL.077・572・0455 |
おごと温泉の足湯は老若男女に人気 |
近江牛ラーメン |
美肌の湯「おごと温泉」 近江牛で和風ラーメン
最澄上人により開湯した由緒を持つ「おごと温泉」は交通アクセスの良さから戦後、関西の奥座敷として発展。一時歓楽街として名をはせたが今は静かな環境を取り戻している。泉質はアルカリ性単純泉で疲労回復などのほか美肌の湯としても有名。滋賀や京都を旅した家族連れや女性客も、琵琶湖の眺望を楽しみながら旅の疲れを癒やせるとあって同温泉街に足を運ぶ。
今年2月には20人が同時に漬かれる足湯を目玉とした大津市おごと温泉観光公園がオープン。施設には地元物産販売所、観光案内センターのほか「足湯カフェ」も併設、にぎわいを見せている。
「足湯カフェ」では地元食材にこだわったメニューが味わえる。特に施設オープンに合わせ開発されたB級グルメ・近江牛ラーメン(840円)が好評だ。おごと温泉観光協会の榎高雄会長(46)は、「口の中でとろける近江牛は柔らかい脂分が特徴だが、近江牛ラーメンは足湯に来たお年寄りから幼い子までおいしく食べられるよう、和風ベースのさっぱり味とした」と自慢の逸品を紹介。
公園の営業時間は午前7時〜午後7時。水曜定休。入場無料。TEL.077・578・3750 |
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【周辺観光の問い合わせ】
(社)びわ湖大津観光協会 TEL.077・528・2772 |
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