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迫力のばんえい競馬。普段は入れないレースの裏側を見学するバックヤードツアー(約45分、無料)も実施している |
2012年7月1日〜9月30日、北海道デスティネーションキャンペーン「こころにくる旅。キュンと北海道」が開催される。地元の食や体験を通して「北海道にしかない、新しい発見の旅」を提案する大規模な観光キャンペーンだ。本番前年の今年も同期間、北海道各地でプレキャンペーンが展開中。今回は地元市民が大切に守る「北海道遺産」を訪ね、道東の十勝エリアへ。こだわりの“地域食”も堪能した。
迫力の「ばんえい競馬」
北海道遺産とは、次の世代に引き継ぎたい有形・無形の財産の中から道民参加によって選ばれた“宝物”のこと。豊かな自然はもちろん、歴史や文化、産業なども含め、現在52件が登録されている(01年10月開始)。
開拓の歴史と縁の深い「北海道の馬文化」はまさに北海道遺産そのもの。中でも農耕馬の力を試したお祭りばん馬は「ばんえい競馬」に発展した。現在、世界で唯一のばんえい競馬を見学できるのが、「ばんえい十勝(帯広競馬場)」(帯広市、TEL.0155・34・0825)。約1トンのばん馬が鉄ソリを引きながら2カ所の障害(坂)を設けた直線コース200メートルで競う。サラブレッドが速さを競うなら、ばん馬は力を競うための馬だ。調教師歴35年の服部義幸さん(64)は「最後の急坂は馬と騎手の呼吸が合わないと上れない。一発逆転の迫力があります」。レース開催日は土・日・月曜日。入場料100円。
かつてアイヌの人々が「薬の沼」といっていたと伝わる十勝川温泉(写真は「観月苑」)。10軒の宿がある同温泉郷では、貴重な温泉資源を地域一丸となって保護している |
“美人の湯”モール温泉
道東を代表する十勝川温泉(音更町)は、北海道遺産の植物性モール温泉だ。モールとは亜炭などを指すドイツ語に由来する。太古の時代、アシなどが生い茂る湿地だった同地では、地熱に加え、それらの地下に堆積した植物の発酵熱が熱源に。
特徴は琥珀(こはく)透明のまろやかな湯。しっとりとした肌触りの湯は美人の湯として知られ、「化粧水のような保湿効果、浸透性のある湯は大学の先生にも評価されました。短時間で体の芯から温まります」と話すのは十勝川温泉「観月苑」(TEL.0155・46・2001)宿泊課支配人の工藤裕幸さん(43)。露天風呂では十勝川のせせらぎにも癒やされ、湯から出るのがついつい名残惜しくなるほど。大地の熱が体内に蓄積されたかのようにポカポカ感が持続し、翌朝、旅の足取りも軽くなる。
また、同地では早朝、熱気球体験も。地面に係留した熱気球が約30メートル上昇。晴れていれば十勝平野や日高山脈などの大パノラマが見渡せる。大人2000円。
幻のアーチ橋
「旧国鉄士幌線コンクリートアーチ橋梁群」(上士幌町)は、昭和初期に十勝内陸の産業開発を目指して建設された第一級の鉄道遺産だ。
その中でもタウシュベツ川橋梁(1937年完成、130メートル)は、「幻の橋」として人気のアーチ橋。発電目的のダム湖である糠平湖にたたずみ、季節や発電による湖の水位の変化でその見え方が大きく変わる。NPOひがし大雪自然ガイドセンター(TEL.01564・4・2261)代表理事の河田充さん(51)は「ひと冬で60数回の凍結、融解を繰り返すタウシュベツ川橋梁は、やがて壊れゆく産業遺産。発電のためのダムなのでこれを止めるわけにもいかないし、いずれ遺跡となる橋を見守っていきたい」。
同NPOは専門ガイドの案内で回るアーチ橋見学ツアー(大人3000円、要予約)を実施。許可車両以外近づくことのできない場所に行き、タウシュベツ橋梁を間近に望める。 |
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【観光全般の問い合わせ】
十勝観光連盟
TEL.0155・22・1370 |
【こだわりの地域食】
【豚丼】香ばしい匂いが食欲をそそる帯広名物「豚丼」。ルーツは開拓時代にさかのぼり、静岡県から依田勉三率いる晩成社が豚4頭を連れて入植したのを機に豚肉を食べる土地柄になったという。1933年、うなぎのかば焼きをイメージして考案されて以来、帯広に根付き、今では市内180店舗以上で提供。
【十勝清水牛玉ステーキ丼】清水町の新ご当地グルメとして昨年7月に誕生。ヘルシーな十勝若牛とふわふわの鶏卵スクランブル、特製みそが一体となった丼。料金は各店1000円以下で、エリア内9店舗で提供している。 |
「プレ北海道デスティネーションキャンペーン」
9月30日(金)まで。臨時列車や観光地へのアクセスバスの運行、イベント開催などを行っている。
http://www.hokkaido-dc.jp/ |
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