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日本の灯台50選にも選ばれた大瀬崎灯台 |
シーカヤックを楽しめる小浦海水浴場 |
長崎県の西端、東シナ海に浮かぶ大小140余りの島々。九州本土から海で隔てられた五島列島には、手つかずの自然が残り、心を癒やす風景が広がる。また、キリシタンの歴史をしのばせる50余りのカトリック教会が点在。日本古来の伝統文化も継承されていて、興味深い歴史や文化に彩られた地となっている。
白い灯台、夕日に染まる
風や波に侵食された断崖絶壁の上に立つ白い灯台。夕方の日の光を受けて、そのシルエットが、遠くに浮かび上がる。五島列島の福江島にある大瀬崎灯台は、日本の灯台50選にも選ばれた名所で、モントリオール世界映画祭で、深津絵里が最優秀女優賞を受賞した映画「悪人」のロケ地としても、話題の場所だ。
この福江島には美しい海岸が多く、特に高浜ビーチは、エメラルドグリーンの海と白い砂浜が見事なコントラストを見せ、五島を代表する海岸となっている。
小浦海水浴場では、4〜10月の間、シーカヤックの体験をすることもできる。初心者でも簡単に扱えるカヤックに乗って、五島の自然を身近に感じてみてはいかがだろう。 |
躍動感にあふれる上五島神楽の獅子舞 |
上五島神楽、30の舞継承
室町時代に生まれ、400年以上の歴史を持つ上五島神楽。国の選択無形民俗文化財に指定されたこの伝統芸能は、保存会も結成され、30の舞が今も継承されている。
今回、そのうち5つの舞を中通島の神社で見ることができた。
最初に披露されたのは「折敷舞」。神に供える折敷という盆を持って舞う舞で、迫力のある太鼓の音で始まる。踊りは曲芸的要素に富み、躍動感にあふれている。
次の舞は、扇を神話に登場する「天の岩戸」に見立てて、岩戸が開かれる形を模した「平舞」。折敷舞とは違って、動きのゆったりとした優雅な舞だ。
そして、翁(おきな)と媼(おうな)が愛情を表現する舞や、豊作を祈念する舞に続いて、上五島神楽の最後を締めくくる「獅子舞」が演じられた。
これは獅子と天狗(てんぐ)による悪魔ばらいの舞で、動きが激しく、迫力満点。「舞を舞っているのは神職と、洋品店の社長など、町の一般の人」と宮司の吉村政徳さん(61)は話すが、非常に本格的な舞だった。
上五島神楽は、秋の例大祭のときなどに、奉納される。それ以外の時期は、新上五島町観光物産協会に公演を依頼することも可能だ。 |
キリシタンが弾圧を逃れ、隠れ住んだ洞窟 |
“カクレキリシタン”信仰を継ぐ
豊臣秀吉が宣教師追放令を発して以来、約300年に及んだキリシタンの弾圧の中で、信者の多くは仏教徒を装いながら、ひそかに信仰を守り続けた。
五島列島の一つ、若松島には、弾圧を逃れるために信者が隠れ住んでいた洞窟が残されている。入り口にキリストの像が立つその洞窟には、ごつごつとした大きな岩が、至る所に転がっていた。そんな場所にまで信者が潜伏して住まなければならなかった当時の弾圧の厳しさが伝わってくる。
また中通島には、1873(明治6)年、禁教令の高札が撤去された後も、潜伏期の信仰形態を保持している信者の組織がある。
その組織のリーダーである坂井好弘さん(54)は、「お祈りは日曜日に、神様にお酒と刺し身をお供えして行います」と、先祖代々引き継いできた信仰方法について語る。
禁教令廃止の後、五島列島には数多くの教会が建てられた。中でも100年前に創設された青砂ヶ浦教会は、れんが造りの建物やステンドグラスが美しく、世界遺産暫定リストに登録された教会の一つとなっている。
こうした教会や“カクレキリシタン”にまつわる場所を訪れ、長崎のキリスト教の歴史に思いをはせてみるのも一興だ。 |
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【観光の問い合わせ】
長崎県観光連盟 TEL.095・826・9407
シーカヤック(五島市商工会青年部玉之浦支部) TEL.095・987・2032
坂井好弘さんのお話と「キリシタン洞窟」見学 TEL.095・944・1762
上五島神楽(新上五島町観光物産協会) TEL.095・942・0964 |
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