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鳥取産を証明するブランドタグ付きの松葉ガニ。境港さかなセンター(境港市)で |
NHK連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」や山陰海岸の世界ジオパークネットワーク加盟など、近年注目を集める鳥取県。中でも県中部は、今が旬の松葉ガニやご当地グルメが堪能できる「食のみやこ」だ。倉吉市の白壁土蔵群や梨記念館など観光スポットも近い。東郷湖畔に面した水郷の温泉街を拠点にすれば、鏝(こて)絵や桐下駄(きりげた)など今に息づく職人の技に触れることも。食と職—。通好みの鳥取観光に出掛けよう。
今が旬、極上の松葉ガニ
味、姿、華麗な色—。その3拍子がそろった鳥取県産のカニの中でも、松葉ガニは出色だ。
松葉ガニとは、成長したズワイガニの雄で山陰地方ならではの名称。毎年11月に漁が解禁になると、鳥取沖や境港沖を中心にカニ漁でにぎわう。たっぷり詰まった身は淡泊な中にも上品な甘さやうまみが味わえると評判。濃厚なカニみそも特徴で、まさに“冬の味覚の王様”だ。カニ殻にはコレステロール値の改善や血圧降下にいいとされるキチン、キトサンなど天然成分も豊富だという。 |
「望湖楼」湖上露天風呂からの眺め。東郷湖は海とつながる汽水湖で山陰八景の一つに数えられている |
“月下湖上の湯”に浸る
県中部のはわい温泉「望湖楼」(湯梨浜町、TEL.0858・35・2221)では温泉と松葉ガニ料理が堪能できる。1931(昭和6)年創業の同館は客室数約100室を誇る老舗大型旅館。「鶴の湖」と呼ばれる風光明美な東郷湖に浮かぶようにして立ち、全室から湖が見渡せるのが特徴だ。
同館自慢は湯量豊富なかけ流し温泉。特に抜群の開放感の中、朝日や夕日が楽しめる湖上露天風呂は格別。「コの字」に巡らされた朱色の桟橋を通って露天風呂へ渡る演出もぜいたくで、夜には無数の明かりが桟橋や湖上を照らす。“月下湖上の湯”に浸り、身も心も軽くなっていく。
泉質はナトリウム硫酸塩泉。効能は高血圧や冷え性、慢性婦人病、関節痛など。 |
「カニフルコースプラン」 |
カニ尽くし満喫
夕食は、ズワイガニ料理がずらりと並んだ「カニフルコースプラン」を賞味。新鮮なカニの甘み、食欲をそそる香ばしいにおい…。「焼き」「刺し」「天ぷら」「カニすき」など食べ方はいろいろだ。「松葉ガニの味は繊細。カニ本来の味を楽しむには、塩ゆでしたものを三杯酢で食べるのがおすすめ」と話すのは同館女将(おかみ)の中島三秋さん(59)。鳥取県産「ひとめぼれ」のご飯とカニみそ汁の相性もいい。締めのカニ雑炊でほくほく気分を満喫した。 |
琴浦町光地区に残る鏝絵となまこ壁。2階には元気に跳ねる「昇り鯉」の鏝絵(1996年、野口原貞雄作) |
職人の技に触れる“世界遺産”も
漆喰(しっくい)壁の街並みが美しい「倉吉白壁土蔵群・赤瓦」、ナシをテーマとした日本で唯一の博物館「鳥取二十世紀梨記念館」…。鳥取県中部には見どころが多いが、通好みの読者はぜひ昔ながらの職人の技に触れる“世間遺産”巡りへ。
鏝絵となまこ壁
琴浦町光(みつ)地区。暮らしの中で使われてきた土蔵に施された装飾の数々は、江戸時代から受け継がれる“左官の粋”の証しだ。
白と黒のコントラストが白壁に映えるなまこ壁。鏝を使って漆喰に描かれた鏝絵はもともと左官の余技といわれ、施主に対する「無償のお礼」として描かれたという。長寿や商売繁盛などを願い、縁起物の図柄が選ばれる鏝絵。光地区では約30個の鏝絵が見学可能で、ヒョウタンや串団子など遊び心あふれるデザインのものも。
「光の鏝絵は地元の左官・吉田貞一さん(故人)が石州左官から技法を学び、昭和30年ごろから作られるようになった」と話すのは琴浦町観光協会副会長の松岡義雄さん(63)。邪気を払い評価(かぶ)を上げるという「座りカブ」の鏝絵は何ともユニークだ。
同地区では鏝絵ガイドツアー(有料)も実施。問い合わせは琴浦町観光協会TEL.0858・55・7811
牛骨ラーメン
B級グルメ人気の昨今、県中部のご当地食として注目なのが「牛骨ラーメン」。戦後すぐから食べられてきた地元の味。コクがあるのにすっきりとした透明感のあるスープはまさに「飲み干したくなる一品」。散策で冷えた体を優しく温めてくれる。琴浦、湯梨浜、倉吉など県中部の5地域で味わえる。
桐下駄
昔ながらの軽くて履き心地のいい桐下駄を作るのは、「三津国履物店」(湯梨浜町)3代目の三津国勉さん(55)。この道35年、県内でも数少ない桐下駄職人だ。軽くて軟らかい桐の材質を生かし、鉋(かんな)や錐(きり)など20種類以上の道具を用いて仕上げる。「下駄を履くと健康にもいい。円形下駄などユニークな形状もあります」。大人用4000円〜。
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【鳥取観光全般の問い合わせ】
鳥取県東京本部(代) TEL.03・5212・9077 |
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