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五本の指を広げたような五翼放射状平屋舎房。中央では看守が目を光らせる(提供:博物館網走監獄) |
五翼放射状平屋舎房の館内 |
北海道・オホーツク海沿岸の近代をひもとけば、北海道開拓を凝縮したような歴史が浮かび上がる。漁業や牧羊・畑作に適した自然資源に恵まれる一方、冬になると厳しい寒風が襲いかかる。豊かな、そして厳しい自然と闘い、郷土をつくり上げた開拓民の足跡をたどって「知る・歩く・食べる」旅に出よう。
「網走監獄」、博物館に
北海道開拓の一翼を担ったのは多くの囚人だった。罪を犯したとはいえ鉄球・鉄鎖で拘束され、休みなしで道路開削に従事し、多くの命を散らした囚人らの悲劇は現在も語り継がれている。
この開拓の1ページを体験できるのが、現在も存在する網走刑務所の旧建造物群を網走湖畔17万平方メートルの敷地に移築した博物館網走監獄(網走市)だ。多くの囚人を一元管理するための五翼放射状平屋舎房ほか各施設には囚人の様子を伝えるため人形を配置しているが、中には脱獄犯の人形も。館内の食堂では監獄食も味わえる(A食=サンマ600円、B食=ホッケ700円)。入館料は1050円。予約なしで1日3回(冬季)ガイドツアー(無料)を行っている。問い合わせはTEL.0152・45・2411
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看板に踊る文字がなんとも懐かしい雰囲気を醸し出す |
紋別に「懐かしのネオン街」
往時の紋別港はニシン漁で活況を呈していた。その名残をとどめるのが港のすぐ奥を通る「はまなす通り」(紋別市)。レトロな雰囲気を漂わせる歓楽街で、夜ともなれば色とりどりの看板から発する妖(あや)しいネオンの光が旅人を誘う。
昭和半ばでここだけが時を止めたかのように2階建ての建物が延々と軒を連ね、通りの左右に連なった看板が空間を埋めつくさんばかりに並ぶ様は見るだけでも楽しめる。
「昔は大金を持ち歩いた漁師さんが通りにあふれ、ぶつかりながら歩いたって聞いたよ」と話してくれたのは通りの一角にラーメン店「戎家」を構える大和谷公明さん(59)。今でも流氷観光のピークを迎える12月、1月には人出でごった返し、訪れた年配客は「懐かしい」と感慨を漏らすという。
問い合わせはオホーツク圏観光連盟TEL.0152・45・1885 |
大黒 宏さん |
生キャラメル誕生の地
口に入れるとあっという間にとろける生キャラメル—。この新食感を発明したのが興部(おこっぺ)町の牧場・ノースプレインファーム(株)だ。牧場敷地内の直販所兼レストラン「ミルクホール」ではほかにも砂糖を入れたかのように甘いと評判の「おこっぺ牛乳」や、発酵バターケーキほかこだわりの乳製品スイーツが味わえる。
同社社長の大黒(だいこく)宏さん(53)は、自らの手による牛乳販売を起点に付加価値の高い乳製品の開発・販売を展開。また、北海道酪農振興のため自ら開発した乳製品の製造法を一部オープンにし、これが生キャラメルの大ヒットにつながった。大黒さんの先祖は北海道に入植した開拓民。「だれも見向きもしない場所を開拓した先祖のように、何もないところから価値を作り、次の世代につなぎたい」と力強く語った。ミルクホールの営業時間は午前10時〜午後6時(火曜定休日)。
同社は製品の通信販売も行っている。TEL.0158・88・2000 |
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