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約2キロにわたって続く厳美渓。冬には奇岩に雪が積もり、感動的な世界に |
岩手・宮城内陸地震の影響で2年近く通行止めになっていた一般国道342号の真湯(しんゆ)—須川(すかわ)間が今年5月30日に再開通(11月5日から冬季閉鎖、再開は来年ゴールデンウイーク前後を予定)。この秋の紅葉シーズンを中心に栗駒山や須川温泉郷には約30万人が訪れた模様だ。そこで一関を起点に、再び地震前の活気を取り戻した観光スポットを訪ねた。
奇岩連なる厳美渓
今年で開業120周年を迎えたJR一ノ関駅。ここから342号線を須川方面に行くと、まず左手に見えてくるのが、栗駒山に源を発し一関市街へ流れる磐井川の浸食で形成された厳美渓(げんびけい)。エメラルドグリーンの水流とその流れが長い時をかけて磨いた奇岩の数々。真冬には純白の綿帽子をかぶったかのような奇岩が連なる感動的な世界が広がる。
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田や防風林、家屋の配置まで中世のまま残る骨寺村荘園遺跡 |
荘園の景観残す骨寺村荘園遺跡
厳美渓を後に342号線を西進すると、骨寺村荘園遺跡がある。骨寺村は室町時代まで中尊寺経蔵別当領として受け継がれてきた。その中尊寺に伝わる「陸奥国骨寺村絵図」。そこに描かれた中世の荘園の景観がほぼそのままの形で残っているのは非常に珍しい。今では数少ない日本の農村の原風景だ。「かつてこの荘園は中尊寺経蔵の経済を支えたと伝えられています」といわいの里ガイドの会会長の白澤剛一さん(71)。
遺跡を散策した後は骨寺村荘園休憩所「古曲田家(こまがたや)」(TEL.0191・39・2930)でひと休み。ここでは骨寺産の材料を使った体に優しいランチがいただける。「はっと・おにぎりセット」(700円)はみそ味のすいとん(はっと)に白と赤のおにぎり(古代米入り)付きで、体も心も温まる。 |
豊富な湯量を誇る須川高原温泉の元湯は乳白色 |
「湯けむり街道」7つの温泉
磐井川に沿うように続く342号線。それを上って行くと栗駒山ろくの須川高原温泉だ。2008(平成20)年6月14日に発生した地震で不通となった後、須川高原温泉の宿泊施設では秋田県側から入山する宿泊客を2、3時間かけて送迎する努力を続けたという。それでも、年30万人以上あった登山・宿泊・入湯客は5万人台へと激減。宿泊施設も客も今年の再開通を待ち望んでいた。積雪などから真湯—須川間は冬季閉鎖されるが、来春には除雪作業が終わり次第、再開。地震で崩壊したまつるべ大橋も、今年中には新たな橋が完成する見通しだ。
須川高原温泉は冬季閉鎖となるが、342号線は別名「湯けむり街道」と呼ばれ、同国道沿いには7つの温泉群がある。厳美渓温泉、まつるべ温泉、真湯温泉などがそれで、それぞれが癒やしの湯として互いの魅力を競い合っている。 |
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【一関観光についての問い合わせ】
(社)一関観光協会 TEL.0191・23・2350 |
味の“新名物”
一関といえば有名なのがもち料理。だが、今回は轟新名物麹ともいえる南部一郎うどんとジェラートアイスを紹介したい。
【南部一郎うどん】
日本在来種のカボチャ「南部一郎」を粉状にして岩手県産の小麦粉に練り込んだうどん(乾めんタイプ)。ほのかな甘い香りとのど越しの良さが好評で、古曲田家などで10年5月から販売。
【ジェラートアイス】
厳美渓そばのアイスクリーム店「ポラーノ」(TEL.0191・39・2272)。ここではイタリアンジェラート=写真 =が人気。放牧牛の新鮮なミルクと厳美地方で収穫したイチゴ、ブルーベリー、リンゴなど季節ごとの特産の果物などを材料にした手作りアイスクリームは、低脂肪ですっきりした甘さが特徴だ。 |
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