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JICA横浜 海外移住資料館入り口は建物2階 |
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近場の旅、港町に“奥深さ”訪ねて…
遠出の旅もいいが、あまり費用をかけない近場の旅も捨て難い。横浜市は都内から気軽に行ける観光都市だ。みなとみらいや中華街など派手な見どころが印象的な同市にあって、地味ながら“奥深い”施設も。今回は、そんな施設のひとつ「JICA(ジャイカ・国際協力機構)横浜 海外移住資料館」を案内する。海外移住の歴史や日系人の現地での貢献などが余すところなく紹介されている。入場無料で桜木町も近い。
異国情緒の風景
横浜市中区の「JICA横浜 海外移住資料館」までは、みなとみらい線馬車道駅から徒歩10分、JR桜木町駅からは同15分。馬車道駅からの道は、異国情緒のある古い建物とケヤキの木の葉が揺れる美しい通りで、万国橋から見るみなとみらいの景色も良い。
歴史と生活紹介
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野菜と果物で造った山車 |
同館が開館したのは、2002年。1908年にブラジル移民第1号を乗せた笠戸丸がブラジルのサントス港に到着してから100年以上たつ。これまで日本には日系人の功績を残した資料館はなかった。同館の職員で、館内の構成や資料集めにまで携わった小嶋茂さん(52)は、「(同館は)移住者とその子孫である日系人への理解を深めることを狙いとしています。また、日系人の苦労ではなく、あえて現地での貢献に重きを置いています」と趣旨を話す。
「声高に語られてはいませんが、今日、北米や南米に日本企業が工場を造ったり進出に成功できた陰には、現地の日系人の仲立ちや貢献があったのです。彼らは外国で暮らしているからこそ、祖国の文化を大切にし、助け合ってきました。その様子を今の日本に伝えることが非常に大切だとわれわれは考えています」と話す。
館内は前半に移住の歴史が、後半に現地での生活が再現されている。入り口のすぐ近くにあるのが、野菜や花、果物で造られた山車だ。よく見ると屋根はアメリカ国旗になっている。これは、1920年にオレゴン州ポートランドで開催された祭りに現地の日系人が出品した物の複製品だ。現地に溶け込もうと努力した彼らの謙虚さと、日本人らしい緻密(ちみつ)さが表れている感動作だ。
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館内は広くて新しい |
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コーヒー畑で働く移民(当時) |
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港を望み食事も
いよいよブースに入る。年表と解説を中心に展示が続く。右側に当時の人や風景写真が広がっている。正装し、りりしい顔立ちの男たちがずらりと並んだ一枚が目に留まった。「そうなんです。当時は列強国と肩を並べるために身なりをきちんとするよう政府から通達が出ていたんですよ」と小嶋さん。
後半部分に入り、現地での農作業の様子、店舗の内装の復元などもあり興味深い。また現地での結婚式の様子や家族写真が張られたパネルも充実している。特にハワイの日系大家族の写真は圧巻だ。写真には、3世から6世までが写っているという。中には、どう見ても日本人に見えない人も。「ひとくくりに『日系』といいますが、6世までくると非常に多様化しています。基本的に2世以降はもう現地の人ですし、日本語を話せない人もたくさんいます。いろんな日系人がいる、ということを理解していただくきっかけになればと願っています」
館内には、緑色のベストを着用したボランティアガイドも待機。解説を依頼すると、懇切丁寧に教えてくれるのでおすすめだ。
同館3階にはレストランも。港が見渡せるテラス席もあり、国際色豊かなメニューのランチが楽しめる。また飲食店や雑貨店が集う赤レンガ倉庫までは徒歩5分と近い。 |
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【JICA横浜 海外移住資料館】
TEL045・663・3257
月曜日休館 |
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