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千本桜が咲き誇る春の上田城 |
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東京から長野新幹線で75分—。戦国時代随一の武将と名高い真田氏が築いた城下町・上田は、四季折々の表情が楽しめる歴史と文化のまちだ。周辺には宿場町の風情や歴史ある名湯、寺社、信州そば店など、「見て、食べて、くつろげる」スポットも多い。春の信州、真田氏ゆかりの地を中心にまち歩きに出かけよう。
城下町へ 上田城訪ねる
「真田太平記」や「十勇士」の物語をはじめ、日本映画の巨匠たちが愛した地・上田。「信州の鎌倉」と呼ばれる塩田平の古社寺を回る中高年に加え、最近では“歴女”と呼ばれる歴史好きの女性やロケ地巡りを楽しむ若者も多いとか。
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西澤文登さん |
散策には池波正太郎真田太平記館や北国街道の宿場町の面影を残す柳町など、見どころ豊富な城下町がお勧め。中でも上田城は1583(天正11)年、真田昌幸が千曲川の絶壁に築城した真田氏の居城で、国内唯一の実戦経験のある平城。「昌幸・幸村親子が2度にわたって徳川家の大軍を退けた鉄壁の城。陰陽道(おんみょうどう)に基づき、地の利を生かした城造りがされた」と話すのは上田観光ボランティアガイドの会の西澤文登さん(63)。
現在は西櫓(やぐら)などが残り、公園として市民の憩いの場に。春には敷地内の桜が古城に彩りを添える。秋にはケヤキ並木の紅葉も美しく、10月の「真田幸村ロマンウオーク」の拠点となる。記者も昨秋、30キロコースを完歩。さわやかな秋の風が心地よかった。
上田観光コンベンション協会 TEL0268・23・5408
自家製みそを使った「真田そば」 |
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真田そば、みその香り
上田には、そば店が多い。中でも故・池波正太郎ゆかりの「刀屋そば店」(日曜定休、TEL0268・22・2948)では真田そばが珍しい。自家製みそとナメコを使って模した、真田氏の旗印「六文銭」。それをだし汁で溶かしながらいただく。「味、盛り、香り」の三拍子そろった味わいだ。
同店は1961(昭和36)年創業。「食通の池波さんは温かいカレーのつゆとご飯を頼み、お付きの記者に食べさせていた」と振り返るのは2代目店主の高桑功さん(69)。店内には常連のほか観光客の姿も目立つ。時々聞こえてくる“関西弁”に、「大阪の陣のお返しに来てくれたのかな」と高桑さんは笑った。
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静かな山あいに建つ田沢温泉「ますや旅館」は、映画「卓球温泉」の舞台にもなった |
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「見返りの塔」と称される国宝大法寺三重塔 |
名塔と名湯の青木村
上田駅からバスで約30分。同県青木村の大法寺は定年世代必見の隠れた名所だ。「見返りの塔」といわれる国宝三重塔は鎌倉時代末期(1333年)の創建。シンプルな形ながら、「初重が特に大きく安定感のある工法がとられているのは、ほかに奈良の興福寺三重塔だけ」と同寺の住職。
また、同村には湯治場の雰囲気残る沓掛温泉や「子宝の湯」としても有名な田沢温泉などの名湯も。特に田沢温泉「ますや旅館」(TEL0268・49・2001)は1899(明治32)年、若き日の島崎藤村が滞在したという温泉宿。同館女将(おかみ)の宮原岳子さん(71)は「木造3階建ての高楼は昔のまま残っています。回り廊下の『藤村の間』では宿泊もでき、晴れた日は浅間山が見えます」。
同地では日帰り入浴の有乳湯(うちゆ)も試したい。ぬるめだがぬるぬる感があり大量の気泡が疲労回復を促進。足取りも軽く次の散策が待ち遠しくなった。
青木村観光協会 TEL0268・49・0111
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【上田城千本桜まつり】
4月5日(月)〜25日(日)。本丸跡やお堀端のソメイヨシノやシダレザクラが咲き誇り、夜桜のライトアップも。17日(土)には、「日本一の兵(つわもの)」と称された真田武者にふんした約300人の行列が、上田城跡公園や市内中心部を練り歩く。 |
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