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那智山青岸渡寺の三重塔と那智御瀧(右奥) |
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いにしえの雰囲気を残す熊野古道の大門坂 |
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紀伊半島南部に位置する和歌山県那智勝浦町は、いにしえより人々の信仰の対象とされた熊野那智大社や熊野古道のある聖地として知られる。さらに、〝生マグロ〟の水揚げ高が日本一を誇る漁業の町としても有名だ。こうした山と海の魅力を体感できるさまざまなイベントも行われている南紀熊野の町を訪ねた。
信仰の歴史重ねる
険しい山々に囲まれ、深い緑に包まれた熊野は、古代より神が宿る国とされ、熊野三山(熊野那智大社、熊野本宮大社、熊野速玉大社)への信仰が高まった。
11世紀ごろから、白河法皇をはじめとする皇族の熊野詣でが続き、鎌倉時代以降、貴族や武士だけでなく、一般民衆の間にも信仰は広がる。そして、「蟻(あり)の熊野詣」と呼ばれるほど、多くの人がこの地を訪れるように。
那智勝浦町には、世界遺産に指定された熊野那智大社と、那智山青岸渡寺があり、今も参詣する人が絶えない。
熊野那智大社の別宮、飛瀧神社のご神体としてあがめられている那智御瀧は、133メートルという日本一の落差を誇る。岩肌をつたい勢いよく水しぶきを上げる滝を見ていると、自然のパワーが感じられ、昔の人が畏敬(いけい)の念を抱いたのも納得だ。
この熊野に詣でるため、修験者によって開拓されたのが、熊野古道と呼ばれる参詣道だ。那智勝浦にある大門坂は、道の両側に杉の巨木が生い茂り、昼間でも薄暗く、神秘的な雰囲気。こけむした石畳の道が、いにしえの姿をそのままに伝えている。
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勝浦漁港ではマグロの入札を見学できる |
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垣内伸夫さん |
“生マグロ”の町
一度も凍らせていない〝生マグロ〟の水揚げ高が日本一を誇るこの町に来たら、ぜひ訪れたいのが勝浦漁港だ。
前日の午後5時までに予約をすると1人1000円で、漁協職員の解説を聞きながら、中を見て回ることができる(2階からは自由に見学可能)。
午前7時前に漁港に着くと、市場にはすでにたくさんのマグロが並んでいた。長靴に履きかえ、職員に案内してもらう。クロマグロやメバチマグロ、ビンナガマグロなどマグロの種類や相場、鮮度の見分け方などについて、詳しい説明を受けた。マグロ以外にも、赤マンボウなど、珍しい魚も目にすることができ、興味深い。
町中にはマグロ料理を出す店が数多くあるが、中でも評判が高いのが、JR紀伊勝浦駅近くの「桂城」(TEL0735・52・1845)だ。
分厚く切ったおつくりや、マグロのカツ、マグロのつみれ汁などがセットになった鮪(まぐろ)定食(1500円)が一番人気。店主の垣内伸夫さん(40)のこだわりを感じる本場、勝浦の味を堪能することができる。
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【観光やイベントの問い合わせ】
那智勝浦町観光協会 TEL0735・52・5311 |
【豊富な体験イベント】
那智勝浦町と近郊の市町村では、年間を通じ、さまざまな体験イベントが開催されている。主なイベントは次の通り。 【熊野古道大門坂ウォーク】
熊野古道の中でも、昔の雰囲気を最も色濃く残す大門坂を、語り部の案内で散策する。
【魚市場見学ツアー】
仲買人しか出入りできない市場の中に入り、職員から説明を聞きながら見学。
【スマイルドルフィン】
プールの浅瀬でイルカと間近に触れ合う。トレーナー体験も。
【熊野比丘尼が解説する 那智参詣曼荼羅絵解き】 霊場のにぎわいを絵図にして全国に持ち歩き、「絵解き」をして熊野を宣伝した「熊野比丘尼(びくに)」が、「那智参詣曼荼羅(まんだら)絵図」を説明する。 |
【3月に「町並み博」】
3月1日(月)~31日(水)には、町並み博覧会が開催され、通年のイベントに加え、次のような催しが開かれる。
【本場勝浦生マグロづくし料理】
刺し身やマグロ丼、マグロカツ、マグロの生ハムサラダなど6品のマグロ料理を楽しめる。
【温泉巡り&クイックマッサージ】
洞くつ風呂「忘帰洞」をはじめ大小7カ所の温泉を巡る。クイックマッサージも受けられる。
【真珠養殖体験とひおうぎ貝の殻磨き体験】 真珠養殖場で真珠の核入れ作業を体験し、ひおうぎ貝の殻を磨き、オリジナル小物を作る。 |
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