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“キトキト”富山 「天然のいけす」富山湾がもたらす海の幸 富山県 |
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氷見のブリを手にし、「これは9キロくらい。寒ブリとしては小ぶり」と浜出勝之さん。10数キロの寒ブリをさばくことも多い |
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「ブリとフグの湯くぐり」。タレは、豆乳をベースにした“甘味”と、リンゴを生かした“酸味” |
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「キトキト」は、「生きが良い」といった意味の富山の言葉。「天然のいけす」といわれる富山湾は、キトキトの海の幸をふんだんにもたらす。冬は「日本一」の呼び声高い氷見の寒ブリなどがおいしい時季。“キトキトの料理”でおなかを満たすのは、旅先ならではのぜいたくだ。食べ過ぎが気になったら、「薬膳(やくぜん)料理」がおすすめ。売薬の伝統を生かした滋味が、心と体を癒やしてくれる。
氷見の寒ブリ“旬”
沿岸近くから水深1000メートルを超す深海に―。富山湾の地形は特異だ。水深300メートルぐらいまでは暖流が流れるが、それより深いところは「深層水」と呼ばれる冷水域。ブリやアジといった暖流系、アマエビ、ズワイガニなどの冷水・深海系…。双方を水揚げする“神秘の海”だ。「キトキト」は、単に新鮮の意味と思われがちだが、「子どもの目がキトキトしている」といったように、「新鮮を超えた響きがある」と地元の人は笑顔を見せる。
海越しに立山連峰を望む氷見市は、寒ブリの本場。民宿・磯料理「魚恵」(TEL0766・72・3744)店主の浜出勝之さん(64)は「富山の漁師は魚の扱いが丁寧」と誇らしげに話す。捕った魚をすぐ氷水に漬けるため、「鮮度がほとんど落ちない」。伝統の昆布だしなどで食材の味を引き立たせる料理法が「富山湾の恵みに一番合っている」と自信を見せる。例えば料理人仲間と考えた創作料理「ブリとフグの湯くぐり(しゃぶしゃぶ)」。半生にしたブリのうま味、タレの甘味や酸味が口中いっぱいに広がる。地酒「曙」は〝端麗辛口〟。地酒のおいしさも富山の自慢だ。
品数は多いが、「1泊2食で1万1000円から」(魚恵、酒代別)。アンコウやマダラも旬の冬が来客のピークだが、富山県認定の「食の語り部」でもある浜出さんは「春からのキトキトもぜひ味わって」と言葉に力を込める。春は水揚げの時、青い光りを放つホタルイカの季節。“富山湾の宝石”シロエビの漁も4月から始まる。夏はクロマグロ、秋は新カマスなどの時季で、四季を通して遠くから足を延ばす人も少なくない。
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結婚式などの慶事で用いられるタイの細工かまぼこには、目を見張る大きさのものも=夢テラス海王 |
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「薬都」の健康膳。旬の食材や漢方の材料を用いた滋味は、地元の人たちにも親しまれている |
技巧凝らした 細工かまぼこ
富山では富山湾で捕れる白身魚を使用した「かまぼこ」の食文化も発展した。県内のメーカーは約40社あるが、商品の多くは甘くてふっくらとした食感だ。タイなどの細工かまぼこには流麗な技巧が凝らされ、見た目にも楽しい。
射水市の「食と健康のミュージアム・夢テラス海王」(TEL0766・82・7744)では、細工かまぼこ作りを見学できる(時間は問い合わせを)。夢テラス海王館長の菊池茂雄さん(55)は「2月にはバレンタインかまぼこ、3月にはひなまつりかまぼこもお目見えします」と笑顔で話す。
「薬膳料理」薬の伝統 滋味に
300年以上の歴史を持つ越中・富山の薬売り。「置き薬」製造会社は同県に約50社あり、今も全国の家庭に、なじみ深い薬などを届けている。
薬の伝統を生かした「薬膳料理」も富山ならでは。胃腸薬「越中反魂丹」を看板製品にする富山市の和漢薬製造・販売、(株)池田屋安兵衛商店は、なまこ壁が老舗の風格を醸す店構えを誇る。薬の香りが立ち込める店内を2階に上がると、食の空間「薬都」(TEL076・425・1873)。薬都の健康膳(2100円~・要予約)は、漢方の考えに基づいたコース料理だ。鶏肉と野菜を煮込んだ朝鮮ニンジン入りのスープ、ミネラルをたっぷり含んだ黒米料理など、体に優しいメニューをそろえている。「旬の素材を大切にしています」と同社代表取締役の池田安隆さん(54)。冬は「体を温める献立」。根菜類と漢方の食材が織り成す滋味が、くつろいだ気持ちにさせてくれる。
一方、JR富山駅前の「春々(ちゅんちゅん)堂」(CiCビル5F、TEL076・444・7198)は、医薬品メーカー、㈱廣貫堂が直営する薬膳カフェ。薬膳の食材を取り入れたカレーやデザート、ドリンク類などが気軽に楽しめる。同市内の廣貫堂資料館(TEL076・424・2310)では、豊富な資料を通し、「富山の薬」を多角的に紹介している。
【富山の観光・物産に関する問い合わせ】
富山県アンテナショップ「いきいき富山館」 TEL03・3231・5032 |
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