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架け替え工事に入る前の余部鉄橋。豊かな自然の中を時折、列車が悠々と通り過ぎる。鉄橋のある風景は写真好きには絶好の被写体だ |
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兵庫・但馬…魅惑の風景や味
兵庫県北部に位置する但馬(たじま)地方。東京から同地方の中核都市・豊岡市までは新幹線、特急を乗り継いで約5時間。「ちょっと気軽に」とはいかないが、それだけに普段なじみのない風景や味などに出合える。鉄道ファンに人気の余部(あまるべ)鉄橋、美しい海岸・竹野浜、今が旬の高級魚「ノドグロ」、但馬牛…。のんびり旅の醍醐味(だいごみ)を味わおうと、但馬に出掛けてみた。
来秋、100年の歴史に幕
JR西日本山陰本線鎧駅─餘部駅間の山あいに架かる余部鉄橋(香美町)は、高さ41.45メートル、長さ310.59メートルのトレッスル式鉄橋だ。トレッスル式とは末広がりに組まれた多数の橋脚から成る建築様式で、余部鉄橋は同様式としては日本一の規模を誇っている。山あいに高くそびえる鉄橋を渡る列車の威容は圧巻だ。もちろん車窓から見える風景も格別で「乗ってよし、外から見てよし」の観光スポットだ。
鉄道ファンあこがれの場所として名高い同鉄橋だが、老朽化などの理由で架け替え工事が始まっており、来年秋には約100年の歴史に幕を閉じる。現在の姿が見られるのはあとわずかとあって、「最後の雄姿を一目見たい」というファンが多数訪れている。
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ノドグロの塩焼 |
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ノドグロに舌鼓
宿泊は、美しい景観が広がる竹野浜(日本の渚百選)の程近くに建つ休暇村竹野海岸(豊岡市竹野町)へ。
海あり山ありの同地は食材が豊富だ。この時季は、何といっても旬の高級魚「ノドグロ」。ノドグロとは、アカムツの別名で口の中が黒いことからこの名がついた。脂の乗りがよく「白身魚のトロ」とも呼ばれ、刺し身や煮付け、塩焼き…と、どんな調理法でも絶品の味わい。このほか、有名な但馬牛や冬のズワイガニなど、これからは“おいしいシーズン”を迎える。同村では、11月7日(土)までノドグロ尽くしの会席料理が付いた宿泊プラン(1泊2食1人1万3900円)を実施中だ。
同村は11月2日までの毎週月曜日、“有終の美”を目前にした余部鉄橋見学(乗車体験あり)とウオーキングをセットにしたイベントも開催(ガイド料、昼食代など含め2500円)。
休暇村竹野海岸TEL0796-47-1511
全国的にも珍しいカバンの自動販売機。筒状のケースにさまざまなデザインのトートバッグが入っている |
植村美千男さん |
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「カバンストリート」も
豊岡市は知る人ぞ知る日本有数のカバンの産地だ。古くから柳行李(やなぎこうり=柳などで編んだ箱形の入れ物)の産地だった同市では、旅行者の増加などにより徐々にカバンを作るようになったとされ、現在では国内シェア7割を誇る。
同市中心部の宵田商店街は地場産業をもっとPRしようと2005(平成17)年3月、「カバンストリート」をオープンした。同ストリートに面するほとんどの店舗で地場産の「豊岡カバン」を展示・販売するというユニークな取り組みだ。カバン店はもちろん、時計店や書店、美容院までもがカバンを取り扱っており、全国的にも珍しいカバンの自動販売機も。同商店街は今年3月、経済産業省「新・がんばる商店街77選」に選ばれたほど。
ストリートに工房を構える、この道約60年のカバン職人・植村美千男さん(75)は「それぞれのカバンを持って、皆さんがどういう思いで旅行しているのかな、と考えます。われわれ職人の仕事は夢を運ぶことだと思います」と心意気を話す。
観光全般の問い合わせは豊岡観光協会TEL0796-22-8111
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◇おすすめ観光情報◇
【誕生の塩工房】
海水を煮詰める昔ながらの塩作りを体験できる工房。塩作りのほか、竹を使った箸(はし)や器作り、工房でできた塩で味付けした素朴な調理、試食も。もの作り中心の“昔の生活”が追体験できる。試食、食器付き2300円。
たけの観光協会TEL0796-47-1080
【神鍋高原】
約2万年前に噴火したとされる神鍋(かんなべ)山を中心とした高原。ダイナミックな噴火口を取り囲むように散策コースが設けられている。パラグライダーやスキー(冬季)などアウトドアスポーツもさかん。
日高町・神鍋観光協会TEL0796-45-0800 |
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