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日が暮れるころにキリコが動き始める(宇出津あばれ祭り) |
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勇壮でエネルギッシュなキリコ祭りなどこの夏、能登(石川県)全域で「能登ふるさと博」が開催中だ。7月から始まって10月までの4カ月間に行われるイベント数は延べ164。4市・5町の能登全域が“会場(パビリオン)”となり、地域の祭りやイベント、伝統工芸品、温泉地などの地域資源を使って多彩な行事が繰り広げられる。
巨大な御神燈登場
能登の夏の夜を彩るのは何といってもキリコ祭りだ。7月初旬から9月中旬まで能登各地で行われる祭りの総称で、石川県の総面積の約半分を占める能登でおよそ700本のキリコが“乱舞”する。「キリコ」とは、切子灯籠(きりことうろう)を縮めた略称で、若者や壮年の男女によって担ぎ出された巨大な御神燈が町内を練り歩く。「キリコには庶民の祈りが込められているんです」と話すのは、「ほっと石川観光マイスター」の藤平朝雄さん(69)。疾病退散、厄よけ祈願を込めた祭りは町内の団結力を示すシンボルでもあるという。
中でも荒々しさで知られるのが、「宇出津(うしつ)あばれ祭り」(7月3・4日、能登町宇出津)。能登町役場前の広場に立てられた高さ7メートルほどの柱松明(たいまつ=杉などの立ち木の上部にシバをくくりつけている)が一定間隔で7本並び、それらに順次火がつけられると祭りは一気にクライマックスへ。音を立てて燃え盛り、火の粉が舞う柱松明の回りを30人前後の担ぎ手によって運ばれた高さ5〜6メートルのキリコが40本以上も練り歩く様は圧巻。見ているだけでも精神の高揚と心の安らぎを覚えるから不思議だ。
キリコ祭りは8月中旬から9月にかけ、「沖波大漁祭り」(8月17・18日、穴水町)、「輪島大祭」(同22〜25日、輪島市)、「富来八朔祭り」(同29・30日、志賀町)、「蛸島キリコ祭り」(9月10・11日、珠洲市)が順次行われる。
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海水を塩田にまく「塩士」(しおじ)の作業はかなりの重労働。熟練の技も必要だ |
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揚げ浜式で塩作り
能登の歴史を体験したいなら日本で唯一、揚げ浜式の塩作りを行っている「道の駅 すず塩田村」がある(運営は(株)奥能登塩田村)。同村には塩田、釜屋や資料館、展望台が設置されており、海水から塩ができるまでの工程を学習しながらオリジナルな塩づくりを体験できる(9月まで、要予約=TEL0768-87-2040)。
揚げ浜式とは約400年前から行われていた伝統的な塩作り。その製塩法を江戸時代に製塩業が盛んだった珠洲で復活させた。
現在同村では16人の男女で年間約8トンの塩を生産しているが、生産性は極めて低く社長の横道嘉弘さん(71)は「経営は楽ではない」。それを「歴史ある文化を後世に伝えたい」(横道さん)という思いが支える。
ブドウの房の大きさは見る物を驚かせる |
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能登ワイン
能登では、新しい息吹も生まれている。
奥能登の丘陵に広がるブドウ畑。そこで収穫されたブドウで生産するのが能登ワイン。代表的なワイン用ブドウを品種改良したヤマソーヴィニヨンなどを使って生産したワインは年々評価が高まっている。
ミネラル成分を土壌に含ませるためとリサイクルの意味から、「カキの殻を細かく砕いて乾燥させたものを畑に敷き詰めて育てています」と能登ワイン(株)営業課長の川端俊樹さん(49)。
加熱処理しない生ワインはすっきりした味わいだ。収穫体験などの問い合わせはTEL0768-58-1577
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ふるさと博は10月まで!
能登ふるさと博ではこのほか、今年4月にオープンした輪島市出身の漫画家、永井豪記念館など見どころがたくさん。同博開催を記念して、新鮮な食材を使った能登弁のスタンプラリーや道の駅スタンプラリー、写真コンテストなども開催中だ。
「能登ふるさと博」の問い合わせ=「ほっと石川」観光キャンペーン実行委員会(石川県観光推進課内)TEL076-225-1538(土・日・祝日を除く平日午前9時〜午後5時15分) |
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