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山車展示館内の津軽剛情張大太鼓。「8月の弘前ねぷた祭りで、50人がかりで引かれます」と中谷敏右さん |
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ねぶたや三味線、雄大な白神山地…。寺山修司や太宰治など数々の文人を輩出したことでも知られる青森県津軽地方。素朴なぬくもりが人や街に受け継がれ、今も息づく。青森県が「3世代、70年以上続いている大衆食堂」と定める「津軽百年食堂」も同地方で10店が営業を続ける。そば、カレー、ラーメン…。代々の工夫と改良を加えながらも、庶民の舌と胃袋を満たしてきた懐かしの味。団体旅行では回れない、自分好みの“ゆったり旅”へ─。
洋館のある街、弘前
桜や菊人形、雪燈籠(とうろう)の祭りなど、弘前は四季折々の表情が楽しめる街。弘前城や最勝院五重塔など多くの名所旧跡に加え、明治・大正の薫りを伝える洋風建築物が残る。津軽の食材を使ったフレンチを出す店も多く、「洋館とフランス料理の街」とも。
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屋台のそば屋が起源という三忠食堂。戦前、使っていた出前道具を前に、4代目の黒沼三千男さんは「5代目も決まりました」と話す |
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山崎食堂の大鰐ラーメン |
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観光拠点は、追手門広場の弘前市立観光館。観光情報の提供や津軽塗、こぎん刺しなど伝統工芸品の展示・販売も行っている。広場には「弘前ねぷたまつり」に出陣する剛情張大太鼓(直径4メートル)などが見学できる山車展示館、八角形の双塔が美しい旧弘前市立図書館も。
名匠・堀江佐吉が建築したルネサンス式の図書館について「当時、市民みんなが見に来るほどおしゃれな建物。弘前大学の下宿兼喫茶店の時代もあった」と弘前観光ボランティアガイドの会会長の中谷敏右さん(74)。
「東京と逆」、熟成そば
津軽地方で藩政時代から食べられてきたのが、練ったそば玉を2〜3日寝かせ、大豆の粉をつなぎに使って練りこんだ津軽そばだ。
「ひきたて、打ちたて、ゆでたてがうまい」という東京そばの逆をいく熟成そば。店ごとに製法の違いが多少あるというが、4代100年続く三忠食堂(弘前市、TEL0172・32・0831)では、津軽そばにイワシの焼き干しとマルシチ(大鰐町)のしょうゆを使う。シンプルなつゆとフワッとした食感のそばが絡み合う、やさしい味だ。
2代目の時代から弘前さくらまつりに出店し、奇抜でレトロな三忠食堂の看板はまつりの風物詩に。「集団就職した人たちが祭りの時に帰ってきて食べてくれる」と笑顔で話すのは4代目の黒沼三千男さん(60)。
子どものころから見よう見まねで家業を手伝ってきたというが、「時代時代で頑張ってきて地域の人に恵まれた。食べ物がない時代にうまく重なったのかな」。
機能性と遊び心のある作品をつくる「わにもっこ」の山内将才さん(40) |
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温泉が生んだ大鰐文化
弘前から電車で30分。800年の歴史がある大鰐温泉は、「大鰐の湯っこ」と古くから親しまれてきた津軽の奥座敷だ。湯治場文化が残り、町内には8つの外湯がある。泉質は弱食塩泉。
温泉熱を利用したモヤシ栽培や日本で唯一の温泉醸造味噌(みそ)の製造なども大鰐を代表する文化だ。3代80年の山崎食堂(大鰐町、TEL0172・48・2134)ではシャキシャキとしたモヤシの歯応えと香り、油揚げの組み合わせが抜群の大鰐ラーメンがおすすめ。
また、同町の「わにもっこ(TEL0172・48・5526)」では天然木の家具やクラフト作品の展示・販売も。
また光前寺は、エメラルド色に光るヒカリゴケの自生地としても全国的に知られる。
例年4月下旬から11月上旬にかけて、参道の石垣などに、幻想的な光を放つその珍しい姿を見ることができる。 |
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(社)弘前観光コンベンション協会
弘前の観光の問い合わせ:TEL0172-35-3131
大鰐町役場
大鰐の観光の問い合わせ:TEL0172-48-2111(代)
津軽百年食堂
問い合わせ:青森県東京事務所 TEL03-5212-9113 |
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